研究課題/領域番号 |
20K05770
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38010:植物栄養学および土壌学関連
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
山本 定博 鳥取大学, 農学部, 教授 (30200801)
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研究分担者 |
遠藤 常嘉 鳥取大学, 農学部, 教授 (70423259)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 乾燥地 / 灌漑農地 / 低温 / 塩の溶解度 / 土壌ソーダ質化 / 塩類土壌 / リン / 溶脱 / ソーダ質土壌 / 灌漑 / Na塩溶解度の温度依存性 / リン溶脱 |
研究開始時の研究の概要 |
乾燥地の灌漑農地の土壌塩類化による劣化機構について,これまでほとんど考慮されてこなかった「温度条件(灌漑水温,地温)」に着目して検討する. すなわち,冬季寒冷な大陸性気候下の乾燥地の灌漑農地を想定し,春先の低温期に慣行的に行われる冷たい水による灌漑(冷水灌漑)が土壌塩類の溶解特性・動態にどのように影響するのか,また,それが土壌塩類化の促進要因(とくに深刻な状況を生み出す土壌ソーダ質化の助長要因)になるのかを追究する. さらに,冷水灌漑による土壌塩類組成変化が土壌養分動態に及ぼす影響として,溶解特性が塩組成に影響されやすいリンに焦点を当て,冷水灌漑が農地からのリン溶脱に及ぼす影響を検討する.
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研究成果の概要 |
乾燥地の灌漑農地における冷水の灌漑とそれに伴う除塩過程は土壌ソーダ質化を促すことが明らかになった.その原因は低温条件で溶解度が低下するNa炭酸塩の洗脱抑制とその土壌への残存であり,低温下でのNa-Ca交換反応におけるNaイオンの土壌吸着促進の影響も示唆された.また,ソーダ質化要因として土壌の粘土鉱物の質と量も大きく影響した.さらに,土壌ソーダ質化は土壌無機態リンの溶解性を高め,溶脱リスクを高めることが明らかになった. 乾燥地の灌漑水は重炭酸イオン含むため低温期に冷たい水を灌漑することは,土壌ソーダ質化による土壌劣化を進行させ,農地からのリン溶脱による環境への負荷を生じる普遍的リスクを有する.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
塩類動態について温度環境に着目しておこなった本研究で明確にできた乾燥地の灌漑農地における冷たい水による灌漑管理の負の側面,すなわちソーダ質化による土壌劣化とリン溶脱の問題は,大陸性気候下の乾燥地における冬季灌漑などの慣行的な灌漑管理を見直し,灌漑農業の持続性と環境の保全を高める対策に繋がる基礎的な知見になると期待できる.また,冷涼な雨季を持つ乾燥地の土壌生成,とくにソロネッツの生成に関する基礎的知見としての意味ももつ.
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