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放線菌ゲノム情報を利用した新規物質生産宿主の開発とリグノセルロースの高度資源化

研究課題

研究課題/領域番号 20K05810
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分38020:応用微生物学関連
研究機関秋田県立大学

研究代表者

春日 和  秋田県立大学, 生物資源科学部, 准教授 (40315594)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
キーワードリグノセルロース / キシラナーゼ / Streptomyces属放線菌 / セルラーゼ / 抗生物質生産 / 放線菌
研究開始時の研究の概要

本研究では、リグノセルロース(LC)を有効活用して高付加価値の抗生物質を生産できる新規技術の開発をめざし、LC高度資化能を有する抗生物質生産用宿主を創出する。
そのため、[1]LC高度資化性放線菌Y2944のLC資化を担い、抗生物質生産用宿主C42のLC資化能を向上させる酵素遺伝子を分子生物学・生化学的に明らかにする(基礎研究)。さらに、[2]選抜した遺伝子群をC42に導入して、LC高資化能を示す有用な生産用宿主を育種する。そして、本宿主によるLC系バイオマスを原料とした抗生物質の高生産系を確立する (応用研究)。以上より、LCの高度資源化に寄与する新規物質生産技術を開発できると期待できる。

研究実績の概要

R5年度は、セルロース資化性の有用物質生産放線菌宿主Streptomyces thermocarboxydus C42株に,リグノセルロース高度資化放線菌Streptomyces galbus Y2944のキシラナーゼ遺伝子を導入して,C42宿主のキシラン資化能および有用物質生産能を向上させる遺伝子を特定することを目的とした。今年度は,C42,及びC42にカスガマイシン(KSM)異種生産能を付与した組換株C42/pKSM109に,Y2944由来キシラナーゼ遺伝子を導入して,キシラン分解能およびKSM生産能への遺伝子導入効果を調べた。(i) まず,C42/pKSM109へのキシラナーゼ遺伝子導入を可能にするためのキシラナーゼ遺伝子(xyn10A, xyn11A, xyn11B)発現ベクター(pKU492Aシリーズ)を構築した。(ii) これらプラスミドベクターをC42に導入して,3種のキシラナーゼ遺伝子が発現し,組換え株の培養上清においてキシラン分解活性が向上することを確認した。(iii) これらの発現プラスミドをC42/pKSM109に個々に導入してキシラナーゼ活性およびKSM生産能の向上を評価したが,これらの組換え株において培養上清中のキシラナーゼ活性やKSM生産量は向上しなかった。以上の結果より,KSM生産遺伝子群を強く強制発現させたKSM異種生産菌においては、さらにキシラナーゼ遺伝子を単独で導入してもキシランの資化能およびKSM異種生産能の向上に直接寄与しないと結論づけられた。そのため,これらの能力を向上させるためには、複雑な構造を有するキシランの分解能を向上させ,さらに分解産物の取込みやその後の糖代謝を含めてキシランの資化能を全体的に向上させる必要があると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

本年度の研究成果より、C42のキシラン資化能をY2944由来の外来遺伝子の導入により向上させて異種生産宿主として利用するためには、キシラナーゼ遺伝子を単独で導入させても実現しないことが明確に示された。これは、Y2944遺伝子の単独導入によりC42のセルロース資化能を向上させる試みが成功しなかった(R4年度成果)ことと同様であると結論づけた。そのため、C42のリグノセルロース(セルロースおよびキシラン)資化能を外来遺伝子導入により向上させるためには、C42が保有せずY2944が保有する分解酵素および資化関連遺伝子等を複数組み合わせて導入する必要がある。これまでにセルロースおよびキシラン資化に関連する既知遺伝子については遺伝子発現量を調べ、Y2944の優れた資化能に寄与すると推定される遺伝子を明らかにしている(R2-3年度)。以上の結果に基づいて複数遺伝子を選定して同時に導入する試みを行うべきと考えている。
また一方で、培養上清のタンパク質解析(MS/MS分析)により遺伝子レベルで未解析のタンパク質が新たに検出されている(R3年度)。このタンパク質解析はまだ精度を高めた実験が必要な状況であり、Y2944のキシラン資化能を担う因子を特定するため、再度培養条件を検討した上で分析を行いたい。

今後の研究の推進方策

今年度の研究方針は、以下の2点である。
(1) 資化向上プラスミドの構築と導入効果の検証:C42宿主に導入すべきセルロース及びキシランの資化関連遺伝子群をそれぞれ選定し、PCR増幅したDNA断片を染色体組込型ベクターに連結して、セルロース資化向上プラスミド、及びキシラン資化向上プラスミドを構築する。これらをC42宿主及びC42/pKSM109に導入し、セルロースまたはキシランの資化能やKSMの異種生産能が向上するか検討し、C42宿主を用いたリグノセルロースからの物質生産宿主の改良のポテンシャルについて検討する。
(2) Y2944によるキシラン資化を担うタンパク質因子の解析: キシラン類を主要炭素限としたY2944の培養条件(時間と培地組成など)、及びタンパク質分析方法を再検討し、タンパク質分解の影響が少ないタンパク質試料を調製して、Y2944のセクレトームにおける主要タンパク質を明らかにする。これによりこれまで知見の少ない放線菌におけるキシラン分解の仕組みの解明を推進する。

報告書

(4件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 2020 実施状況報告書
  • 研究成果

    (3件)

すべて 2021 2020

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] 放線菌Streptomyces galbus Y2944ゲノムより見出されたキシラン資化に関連する遺伝子群の定量的な発現解析2021

    • 著者名/発表者名
      丸目浩太郎、牟田口祐太、西村優花、小林正之、小嶋郁夫、春日和
    • 学会等名
      日本農芸化学会東北支部会第156回大会
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [学会発表] Streptomyces属放線菌Y2944のセルロース資化に寄与する遺伝子の解析2021

    • 著者名/発表者名
      日比野竜粛, 丸目浩太郎, 牟田口祐太, 小林正之, 小嶋郁夫, 春日和
    • 学会等名
      日本農芸化学会2021年度大会
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
  • [学会発表] 放線菌Streptomyces galbus Y2944ゲノムより見出されたキシラン資化関連遺伝子群の発現解析2020

    • 著者名/発表者名
      丸目浩太郎, 牟田口祐太, 小嶋郁夫, 春日和
    • 学会等名
      日本農芸化学会東北支部会第155回大会
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書

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公開日: 2020-04-28   更新日: 2024-12-25  

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