研究課題
基盤研究(C)
アブラナ科植物の自家不和合性では雌しべ側因子である受容体キナーゼSRKと花粉側因子であるリガンドSP11が自他識別を制御している。これまでにSRKの細胞外領域とSP11複合体の結晶構造が決定されているが、細胞内領域については構造が決定されておらず、どのようにしてSRKが活性化しているのかは不明である。そこで、本研究ではSRKの細胞内領域について、活性型、不活性型のリコンビナントタンパク質を大腸菌で発現させ、X線結晶構造解析の手法でそれらの立体構造を決定し、リン酸化依存的なSRKの活性化機構を解明する。
アブラナ科植物の自家不和合性は受容体キナーゼSRKとリガンドSP11のハプロタイプ特異的な相互作用によっておこる。本研究ではこの自家不和合性シグナルがどのように細胞内に伝達されるかを解明するために、SRKの細胞内キナーゼドメインの結晶化を試みた。SRKキナーゼドメインは大腸菌で発現させて、高発現かつ安定に発現できるSRKキナーゼドメインの領域を決定した。SRKキナーゼドメインのリコンビナントタンパク質を大量発現・精製を行い、結晶化スクリーニングにより結晶化条件を決定した。Spring-8にて結晶の反射データを収集したところ、最大4.3オングストロームの分解能をもつデータを得ることができた。
アブラナ科植物の自家不和合性は雑種強勢を利用したF1ハイブリッド種子の生産に利用されており、自家不和合性を人為的に操作できる技術の開発が望まれている。SRKキナーゼドメインを阻害する薬剤はいくつか報告されているが、SRKに特異的な阻害剤を開発するためにはSRKキナーゼドメインの構造情報が重要である。本研究ではSRKキナーゼドメインの結晶化に成功し、構造決定に向けて一歩前進した。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 オープンアクセス 2件、 査読あり 1件)
生物物理
巻: 61 号: 5 ページ: 321-323
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Nature Communications
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