研究課題/領域番号 |
20K05825
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38030:応用生物化学関連
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
田口 悟朗 信州大学, 学術研究院繊維学系, 教授 (70252070)
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研究分担者 |
新井 亮一 信州大学, 学術研究院繊維学系, 准教授 (50344023)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | C-配糖化酵素 / フラボノイド-C-配糖体 / 酵素反応機構 / フラボノイド配糖体 |
研究開始時の研究の概要 |
「C-配糖体」は、フラボノイドなどに糖が直接「炭素-炭素結合」しているため、糖の結合が安定で分解されにくく、種々の生物活性を示すことが知られている有用化合物である。この「C-配糖体」を合成する「C-配糖化酵素」がどのようなメカニズムでその結合を合成できるのかを、異なる反応性を持つ2種の「C-配糖化酵素」のタンパク質結晶構造解析や酵素反応解析を行って明らかにする。また、水酸基に糖を転移する一般的なO-配糖化酵素とC-配糖化酵素の反応の違いを明らかにし、その情報を元に、O-配糖化酵素のC-配糖化酵素への変換を試みる。
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研究実績の概要 |
C-配糖体はフラボノイドなどの芳香環に糖が直接炭素-炭素結合した化合物群である。その結合のため、糖の結合が化学的に安定で酸やグルコシダーゼによる加 水分解を受けず、種々の生物活性を示すことから注目されている有用な化合物である。その化学合成は容易ではないため酵素を活用した合成が期待されている が、生合成に関わるC-配糖化酵素の解析は他の配糖化酵素と比べて進んでいない。本研究では、反応性の異なる植物のC-配糖化酵素がそれぞれ炭素―炭素結合を 形成する仕組みを明らかにし、その比較から「C-配糖化反応」が起こる要因を解析するとともに、O-配糖化酵素とC-配糖化酵素の活性変換を行うことなどにより有用なC-配糖体の生物合成に応用することを目指している。 本年度は、昨年度作出したワサビのC-配糖化酵素変異体について、タンパク質の大量発現を行い、結晶の作成に必要な精製を行った。しかし、その過程において濃縮すると酵素タンパク質の一部が切断される現象が起きたため、原因の解明および対策を行い、精製した酵素を用いた結晶化のスクリーニングを開始した。また、昨年度同定したC-配糖化活性とO-配糖化活性の違いを生み出すいくつかのアミノ酸残基を配列が類似した別のO-配糖化酵素に導入し、C-配糖化活性を示すようになるか、検証を行った。その結果、想定通りにC-配糖化活性を示すように改変できたものがあった一方で、配糖化活性自体を示さなくなったものも存在した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ワサビのC-配糖化酵素の結晶作成では、昨年度、変異体を用いることで結晶作成に必要なタンパク質の大量調整が可能となったが、濃縮すると酵素タンパク質が切断されるという新たな問題が生じたため、結晶化に取りかかるのが遅れた。一方、同時に行っている点突然変異導入による酵素反応解析では、昨年までに明らかにしたC-配糖化活性に関わると考えられるいくつかのアミノ酸残基の導入により、類似した別のO-配糖化酵素をC-配糖化活性を示すように改変できたものがあったなど、計画に沿う形で進行している。しかし、新型コロナ対策で予定通りに実験を行えなかったことによる遅れを取り戻し切れておらず、成果の論文投稿を行うために実施期間を延長した。そのため、上記のように評価した。
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今後の研究の推進方策 |
ワサビのWjGT1の構造解析については、その変異体の結晶の作成とX線結晶構造解析を急いで進める。また、変異導入酵素の解析で明らかにしたC-配糖化活性に必要なアミノ酸残基が、どのようにC-配糖化反応に関与しているのかを解析するとともに、C-配糖化活性とO-配糖化活性の相互変換の可能性について継続して検証し、論文投稿する。
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