研究課題
基盤研究(C)
申請者はこれまで、クラゲの大量発生を基礎研究の立場から理解し、新たなクラゲ抑制法開発の足掛かりを得るため、クラゲの変態現象の分子メカニズムを解明する研究を進めてきた。本研究では、ミズクラゲの変態を制御する細胞間シグナル分子群の化学的実体を明らかにすることを目的とする。まず、変態調節物質を探索し、その投与によって影響を受ける遺伝子群を網羅的に同定する。得られた遺伝子群の中から細胞間シグナル分子の特徴を持つものを選抜し、それらについて発現解析・機能解析を行う。
ミズクラゲのライフサイクルでは、固着性のポリプからストロビラを経て浮遊性のクラゲへと変態する。本研究は、ミズクラゲの変態を制御する内因性分子を同定することを目的とした。まず、変態調節物質を得るために、放線菌ライブラリーをスクリーニングした。その結果、変態阻害物質として、bipyrrole化合物を同定した。一方、ポリプ・ストロビラに発現する遺伝子群の網羅的同定を行い、バイオインフォマティクス解析により変態制御遺伝子を探索した。その結果、3種類の細胞増殖因子の相同遺伝子を見出した。これら3種の細胞増殖因子のシグナル伝達経路阻害剤の投与により、変態が阻害または撹乱された。
本研究はミズクラゲの変態を制御する分子を同定することを目的とし、以下の2つの研究成果を得た。(1)変態阻害物質として、放線菌由来のbipyrrole化合物を同定した。(2)内因性変態制御分子として、3種の細胞増殖因子を見出した。近年、ミズクラゲの大量発生が社会問題になっている。ミズクラゲのライフサイクルから、クラゲの大量発生はポリプからクラゲへの変態に依存することが理解できる。本研究で明らかにした変態制御分子のさらなる解析により、クラゲの大量発生を分子レベルで理解すること、そして新たなクラゲ抑制法開発の足掛かりを得ることが期待される。
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Fisheries Science
巻: 90 号: 2 ページ: 179-190
10.1007/s12562-023-01744-z
Frontiers in Marine Science
巻: 10 ページ: 1-8
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