研究課題/領域番号 |
20K05870
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38040:生物有機化学関連
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研究機関 | 明星大学 |
研究代表者 |
冨宿 賢一 明星大学, 理工学部, 教授 (70392090)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 生体触媒 / 不斉異性化 / プロトン移動 / エナンチオ面選択性 / 酸化 / 環化 / ドミノ反応 / 不斉プロトン化 / 異性化 / 官能基変換 / 不斉合成 / 光学活性物質 |
研究開始時の研究の概要 |
生体触媒を用いる有機合成のより一層の発展には、環境調和性と汎用性を併せ持ち、複雑な炭素骨格を立体選択的に構築できる優れたドミノ型不斉合成プロセスの開発が望まれる。本研究では、汎用性の高い加水分解酵素や酸化還元酵素による官能基変換をトリガーとしたプロセスを開発する。すなわち、官能基変換により生じた反応性の高い中間体が、酵素のアミノ酸残基の形成する不斉反応場を利用した結合形成や骨格構築へと導かれ、光学活性な有用物質へと変換されるドミノ型反応である。この一連の反応を、不安定で反応性の高い中間体を系中に遊離しない同一酵素タンパク質内で実現し、優れた収率や不斉収率を達成する。
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研究成果の概要 |
生体触媒により生じた高反応性中間体が酵素のアミノ酸残基の形成する不斉反応場中で光学活性物質に変換されるという連続的な反応を、優れた収率や不斉収率で達成することを目的として研究に取り組んだ。具体的には、生体触媒での加水分解をトリガーとする遠隔不斉誘導と生体触媒をトリガーとするドミノ型酸化‐不斉環化の2つの課題に取り組んだ。特に興味深い結果として、ブテノライドを対象とする検討の中で、生体触媒により高反応性なジエノラートが生じ、引き続く二重結合の移動を伴うプロトン化が、γ-位でエナンチオ面選択的に進行することを見出したことが挙げられる。この反応を利用し、各種の光学活性なブテノリドの合成を達成した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
既存のタンパク質やゲノムのデータベースに捉われず、独自の分子設計に基づく低分子化合物を基質として用いることにより、全く新しい活性を示す酵素を見つけ出すことができる。性質や機能、構造に基づき新しい酵素を体系化することにより、生体触媒としての利用のみならず、生合成系の人為的なデザインに利用でき、天然物を凌ぐ生物活性を示す有用物質の供給につながると期待できる。 基質の適切な分子設計により生物活性天然物の合成に直結する斬新な生体触媒プロセスを開発してその有用性を示せば、多くの有機合成化学者による生体触媒の利用につながり、この分野の発展に大きく寄与することができる。
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