研究課題
基盤研究(C)
加工食品には様々な原材料が使われているが、加工工程が複雑なほどタンパク質やDNAが分解・断片化され、その検出は困難である。そこで、本研究では、原材料に特異的でマルチコピーのDNA配列を探索し、それを標的とした加工食品中の作物単独または一斉検出法を開発することを目的とする。既知のマルチコピーDNA(リボソームRNAまたはトランスポゾン領域など)の作物種間マルチアライメントを行う手法、ゲノムワイドに新規マルチコピー配列を探索する手法をそれぞれ検討し、候補配列を列挙する。そして、リアルタイムPCRまたは次世代シーケンサー等を用いたメタバーコーディング法を開発し、加工食品への適用性を検証する。
本研究では、食品表示偽装や加工食品からの異物混入検知を目的とした農作物の高感度かつ特異的DNA検出法を開発するために、バイオインフォマティクスによってマルチコピーのDNAマーカーを探索する。昨年度に引き続きコメをモデル作物としてマルチコピーDNAマーカーを探索するために、NCBIのデータバンクに登録されているコメに関するデータを用いて検討を継続した。今年度は主に、昨年度開発したパイプライン内で問題であった、非特異性に関して改善するために、アルゴリズムのバグの修正、BLASTプログラムによる相同性による特異性フィルター基準の改良、Bloom filter計測のよる偽陽性プライマー除去、PCR効率の低下原因となるポリマー配列除去、Primer 3プログラムのパラメータ追加、汚染生物種による非特異的増幅を防ぐための除外生物の追加、理論コピー数の閾値設定等の条件追加を検討した。候補配列をピックアップし、それぞれ100bp以上のアンプリコンを生成するようなPCRプライマーペアを複数設計した。設計プライマーを用いてリアルタイムPCRによる特異性確認を行った。一部アンプリコンでは大豆等とクロス反応を示すものもあり、その場合はアンプリコンの一部はレトロトランスポゾン配列と相同性の高いものであった。しかし、特異性が高く、高感度にイネゲノムを検出するプライマーペアも得られており、今度より詳細な検証に進む予定である。今年度の検討により、非特異的な増幅を生む問題点をいくつか改善し、マルチコピーDNAマーカー探索パイプラインをブラッシュアップされたと考えられる。
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すべて 雑誌論文 (11件) (うち査読あり 9件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 2件)
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