研究課題/領域番号 |
20K05923
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38050:食品科学関連
|
研究機関 | 和歌山県立医科大学 (2021-2022) 大阪大学 (2020) |
研究代表者 |
平田 收正 和歌山県立医科大学, 薬学部, 教授 (30199062)
|
研究分担者 |
長野 一也 大阪大学, 薬学研究科, 准教授 (40548301)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | 機能性食品 / γEC / 抗酸化 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、抗酸化物質として魅力的でありながら、特性(動態や効能、安全性など)が未解明なγECに対し、研究代表者が同定したNsPCSを基盤に、各種in vivo試験を含め、解析に必要となるγECを調製したうえで、その特性を以下のマイルストン(MS)を設定することで明らかにする。 [MS1] γECの吸収性と機序について、GSHと比較することで有用性を示す [MS2] 吸収後のγECの生体内運命について、組織分布を明らかにする [MS3] γECの抗酸化能について、GSHなどと比較することで有用性を示す [MS4] γECの安全性について、MS2で分布した組織を中心に解析し、明らかにする
|
研究実績の概要 |
γEC の体内動態について、昨年度までに、GSHとγECそれぞれの還元体・酸化体であるGSHとGSSG、γECとγEC-γECを区別して定量できる系を構築した。また、Caco2細胞を用いたin vitro小腸上皮細胞透過性モデル試験により、トランズウエル上層に添加したGSHとrECが下層で検出され、腸吸収される可能性が示された。そこで本年度は、GSHとrECの吸収機構を明らかにする一環として、GSHとrEC が同一のトランスポーターの基質となって輸送されているのか、競合試験を試みた。トランズウエル上層に同濃度のGSHとrECを共添加した結果、下層で検出されるGSHとrEC量に違いは認められず、競合していない可能性が考えられた。すなわち、GSHとrECは類似構造ながら、同一ではなく、別々のトランスポーターの基質になっている可能性も考えられた。 γEC の機能について、昨年度までに、γEC の抗酸化活性はGSHと同程度であるうえ、アスコルビン酸よりも強い可能性を示した。また、昇圧蛋白質ACEの阻害活性では、GSHとγECは共に阻害したものの、γECの阻害活性はGSHよりも480倍弱いことが見出された。そこで本年度は、ドッキングシミュレーションにより阻害活性機序を解析した。その結果、GSHとrECは共に、ACEの活性中心であるZnに対して、チオール基ではなく、GluのCOOH基が結合し、どちらも両端のCOOH基が酵素のアミノ酸残基と水素結合で安定化していることが予測された。一方、2つの末端COOH基の距離は、γECで7.7Åであったのに対し、GSHで5.3Åとより短く、小さく収まっていることが推察された。つまり、GSHは両端のCOOH基が近づくように折れ曲がることで酵素ポケットにコンパクトに収まって、水素結合の数が多くなり、より強くACE阻害作用を発揮したと考えられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載した研究実施計画にそって、研究が推進したため。
|
今後の研究の推進方策 |
動態解析・機能解析ともに、これまでに収集された成果のうち、再現性がとられていないデータについては、再現されるか検証する。また、再現性の検証にあたっては、詳細を明らかにするため、必要に応じて、添加濃度や解析時間など、群取りを最適化しながら解析する。収集された成果は、残費用を考慮しつつ、極力、学会などで公表することに努める。
|