研究課題
基盤研究(C)
TRAILという分子は正常細胞に影響せず、癌細胞特異的に細胞死を誘導することができる。しかし、癌細胞のなかにはTRAILが誘導する細胞死に対して感受性が低いものも存在する。そこで本研究では、ヒトが日常摂取するビタミンCや不飽和脂肪酸の摂取とTRAIL投与を併用することにより、TRAIL単独では細胞死を誘導できない癌細胞に対して、TRAILが誘導する癌細胞特異的な細胞死誘導効果を上昇させる事を証明する。さらにそのTRAIL高感受性誘導機構を解析し、副作用の少ない治療法の開発を目指す。
TRAILという分子は正常細胞に影響せず、がん細胞特異的に細胞死を誘導することができる。しかし、がん細胞のなかにはTRAILが誘導する細胞死に対して感受性が低いものも存在する。本研究では、ヒトが日常摂取する不飽和脂肪酸により、TRAIL単独では細胞死を誘導できないがん細胞に対して、TRAILが誘導するがん細胞特異的な細胞死誘導効果を上昇させることを明らかにしようとした。その結果、不飽和脂肪酸で乳がん細胞を処理することにより乳がん細胞に発現する細胞死を調節する分子であるBcl-2ファミリータンパク質の発現量が変化することが明らかとした。
不飽和脂肪酸によってTRAIL感受性を誘導できる細胞株と誘導できない細胞株の応答の違いを明らかにすることで、がん細胞の薬剤耐性獲得メカニズムを明らかにすることができ、新しい抗腫瘍薬の標的候補の探索に繋がる。また、これまでの抗腫瘍薬は正常細胞にも影響し副作用を示すものが多く、患者のQOL低下が問題となる。不飽和脂肪酸の様な栄養成分でがん細胞の細胞死感受性を上昇させ、抗腫瘍薬の投与量を下げることができる。抗腫瘍薬の副作用の影響を低減することは、患者のQOLの向上が期待できる。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件)
FASEB Journal
巻: 36 号: 1
10.1096/fj.202101074rr
Cancer Treat Res Commun.
巻: 28 ページ: 100386-100386
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