研究課題/領域番号 |
20K05942
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38050:食品科学関連
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研究機関 | 高崎健康福祉大学 |
研究代表者 |
田中 祐司 高崎健康福祉大学, 薬学部, 准教授 (90453422)
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研究分担者 |
大日方 英 群馬大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (50332557)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 没食子酸 / リボソームRNA / KDM2A / 糖代謝 / Gallic acid / 糖新生 |
研究開始時の研究の概要 |
申請者らのこれまでの解析から、没食子酸はAMPKを活性化でき、KDM2A依存的にrRNA転写を抑制できる事、KDM2A依存的に細胞増殖抑制を誘導できる事が明らかになりつつある。一方、KDM2Aは糖新生関連遺伝子の発現制御の報告があった事から、本研究では、①没食酸によるMCF7細胞の増殖抑制機構の解明、②没食子酸による肝臓細胞でのKDM2A制御機構の解析、及び糖新生制御への影響の解析、③最後にマウスモデルにおける没食子酸による高血糖改善効果を解析する事で、没食子酸によるエピジェネティック制御を通じた糖新生調節とそれによる抗高血糖改善を明らかにする事を目標とした。
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研究実績の概要 |
前年度までの解析で、没食子酸構造を含む化合物の没食子酸プロピルと没食子酸エピガロカテキンを解析した所、KDM2A依存的な制御を誘導できる事が分かった(Biomolecules 2021)。また、肝臓がん細胞株HepG2でも、没食子酸(GA)処理によりKDM2A依存的なrRNA転写抑制が誘導される事、HepG2細胞でKDM2A依存的な制御を受ける新規糖代謝関連遺伝子として、NFkBIA, SLC2A4などを同定した。またKDM2Aが概ね遺伝子の転写開始点付近に結合がみられる事が分かった。今年度は、これらの遺伝子上でKDM2A基質であるヒストンH3K36me2修飾が変動するかを検討した所、SLC2A4遺伝子の転写開始点付近でGA処理によるH3K36me2減少が検出された。現在は、他の候補遺伝子を含め、GA処理によるH3K36me2減少のKDM2A依存性を検討している。また、GA処理による代謝産物変動が制御に関連するかを検討する為、GAによる代謝産物変動を解析(研究分担者に依頼)したが、現状では特定の代謝活性への影響をつかみ切れていない。 一方、前年度解析で、GA処理によりKDM2A依存的に制御を受ける遺伝子候補にグリセロールリン酸シャトルの構成遺伝子であるGPD2が含まれていた事、グリセロールリン酸シャトル阻害剤iGP処理は、GA処理と同様の応答を誘導した事から、iGP処理が、先に同定したKDM2A依存的制御を受ける遺伝子を制御するかを検討した所、SLC2A4はiGP処理でもKDM2A依存的な減少が生じる可能性があった。そこで、GAと同様、SLC2A4遺伝子の転写開始点付近のH3K36me2変動を解析した所、減少が検出された。現在は、このKDM2A依存性を検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
昨年度と比べさらに大学業務や講義などのエフォートが予想より上昇したために、研究に割ける時間が減少したため。
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今後の研究の推進方策 |
前年度までに、研究目標の1つである没食子酸によるKDM2A依存的rRNA転写制御の誘導機序、没食子酸誘導体による調節の可能性については一定の結論を得た。 前年度までに、没食子酸によりKDM2A依存的に制御を受け、糖代謝に関連する遺伝子候補を6つ同定できたので、その詳細な分子機構の解析に着手した。グルコース輸送体であるSLC2A4遺伝子に着目した解析を行い、GA処理によりKDM2Aの基質であるヒストンH3K36me2修飾が転写開始点付近で減少すると考えられた。このデータからは、SLC2A4遺伝子はKDM2Aによるヒストン脱メチル化を介して制御される可能性があるが、さらに詳細なデータを取得する必要がある為、解析を勧めたい。 また、没食子酸によるKDM2A活性の誘導機序の仮説の1つにグリセロールリン酸シャトル阻害を考えていたが、前年度の解析からは、没食子酸によるKDM2A活性誘導とはrRNA転写と一部の遺伝子への制御については同様の反応だが、反応が異なる遺伝子も存在する事が分かった。よって、没食子酸による誘導とグリセロールリン酸シャトル阻害による誘導は同一でない可能性が高い。一方で、GA処理による解析の中心にしたSLC2A4遺伝子はiGP処理でもGAと同様の制御が生じる可能性があった為、この点の解析も進める。既に没食子酸による抗高血糖作用は報告されているものの、その機序については殆ど不明であるため、抗高血糖作用について、rRNA転写を通じた機序に加え、新規制御遺伝子制御を介した機序を提唱できるよう研究を進展させていきたい。
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