研究課題
基盤研究(C)
澱粉は重要な食糧であり、澱粉に作用する酵素の研究は社会的ニーズが高い課題である。近年、さまざまな生物のゲノム解析研究により、既知の澱粉に作用する酵素とはアミノ酸配列の相同性が低い機能未知酵素が多数存在することが判明しており、これらの中から有用な酵素の取得が望まれている。本研究では、ゲノム解析研究により見い出された細菌由来新規マルチドメイン糖転移酵素について、その構造と機能を解析し、各ドメインの糖結合特異性を明らかにすることを目的とする。本研究の成果をもとに、酵素を利用したオリゴ糖生産および澱粉構造の検出技術への開発につなげることを目標とするものである。
本研究は、澱粉に作用する二種類のマルチドメイン酵素の構造機能相関の解析を行い酵素を用いた応用につなげることを目標とする。両酵素とも、糖質加水分解酵素ファミリーGH13に属する糖転移酵素で、N1、N2、N3、A、B、C、Dの各ドメインから構成される。本研究では、N3-A-B-CおよびN1について発現系の構築を行い、構造および性質の解析を行った。その結果、これら酵素はα-1,6-グルコシル糖転移活性を示し、ドメインN1は澱粉に結合するコンポーネントとして機能することを明らかにした。
澱粉は、植物が生産する主要な栄養貯蔵物質であるとともに、人間にとって重要な食糧であり。澱粉の利用や検出技術の開発は、食品や農学に関する分野の発展に貢献できる。本研究では、二種類のマルチドメイン酵素が、オリゴ糖製造や澱粉の構造の特定に利用できる可能性があることを示した。
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