研究課題/領域番号 |
20K05964
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38060:応用分子細胞生物学関連
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
廣田 恵子 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (00375370)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 線虫 / SAM合成酵素 / 排泄リズム / 排泄 / C. elegans |
研究開始時の研究の概要 |
“排泄”は重要な生命活動の一つであり、腸での消化吸収活動を通して生体の栄養摂取に多大な影響を及ぼす可能性がある。しかしながら、線虫において、そのメカニズムや生理機能は不明の点が多く残されている。本研究では、シンプルな“摂取―排泄系”を持つ線虫 C. elegans を用いて、排泄のメカニズムと生理作用を解明することを目的に研究を行う。
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研究実績の概要 |
線虫 Caenorhabditis elegans は、咽頭のポンプ運動によりエサである大腸菌を常時摂食し、腸での消化吸収を経て、約50秒に一度肛門部より排泄をするという、非常にシンプルな食餌の“摂取―排泄系”をもっている。その排泄行動は、連続した3つの筋収縮ステップ[pBoc(posterior body-wall contraction;後方体壁筋収縮), aBoc(anterior body-wall contraction;前方体壁筋収縮), Exp(Expulsion;排泄)]から成り立ち、pBocとそれに続くaBocで腸の内容物を肛門近傍に集め、Expで排泄する。また、体が透明のため、生きたまま腸細胞の形態、腸内腔や大腸菌の消化度合いが観察可能であるという利点を持つ。従って、食餌の“摂取―排泄系”を解析するには適したモデル動物である。 これまでに専用の排泄リズム計測ソフトウェアを用いて、線虫の排泄リズムを計測するシステムを確立し、新たな知見を得ることができた。本年度は、排泄リズムの制御におけるsamsファミリー遺伝子の関与を解析した。その結果、sams-1変異体は、成虫早期に野生型よりも長い周期を示し、また、加齢に伴ってExpステップを頻繁にスキップすることが明らかとなった。sams-1ノックダウンはホスファチジルコリン(PC)レベルを低下させ、コリンの補充によって回復することが既に明らかになっている。そこで、排泄リズムに対するコリン補充の効果を調べたところ、コリンの補充によって、Expステップの消失が回復したことから、sams-1変異体におけるExpステップの制御とPC産生との関連が示唆された。今後、関連する代謝物の影響を解析し、代謝産物と排泄リズムの間の詳細な相互作用を明らかにしていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、遺伝子変異体を用いて排泄リズムの解析を行い、論文として発表することができた。現在、この遺伝子の代謝機能や代謝産物との関係についても解析を行っており、詳細な分子メカニズムの解明を目指して研究を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
現在までの進捗状況で記載したように、排泄リズムを制御する遺伝子とその機能の解明に取り組んでおり、本年度は論文発表をおこなった。今後は詳細な分子メカニズムの解明を目指して研究を進める予定である。
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