研究課題
基盤研究(C)
ダイズは体内酸素循環に重要な二次通気組織を形成するにも関わらず,耐湿性が低い畑作物である.これは十分な二次通気組織の発達には,1週間以上の期間を要するためである.つまり,ダイズの耐湿性向上には恒常的にあるいは短期間で通気組織を形成させることが必要である.これを達成するためには,二次通気組織の形成機構を解明する必要があるが,これまでその分子機構に関する知見は皆無であった.そこで本研究課題では,組織特異的なトランスクリプトーム解析による二次通気組織形成に関わる遺伝子の情報の蓄積やGWA解析を行うことで,ダイズの耐湿性向上のために二次通気組織形成に重要な遺伝子を探索,同定することを目指す.
日本においてダイズは主に排水性の悪い水田転換畑で栽培されることから,湿害が問題となっており,ダイズの耐湿性向上は重要な育種目標である.ダイズは耐湿性形質に重要な体内酸素循環の役割を果たす二次通気組織を形成するが,十分な二次通気組織の発達には,過湿ストレス発生後1週間以上の期間を要し,その間に湿害が発生する.つまり,ダイズの耐湿性向上には恒常的にあるいは過湿ストレス発生後短期間で通気組織を形成させることが必要であると考えられる.そこで本研究課題では,ダイズの耐湿性向上のために二次通気組織形成に重要な遺伝子を探索,同定することを目指した.
イネ科の通気組織は,植物のプログラム細胞死のモデルであり,またトウモロコシやオオムギ,コムギなどの重要な畑作物が形成することから,その分子機構に関する研究や遺伝資源を利用した解析など多数の報告がなされている.その一方で,二次通気組織は一部のマメ科植物が形成するが,作物としてはダイズでのみで報告されており,その具体的な知見は非常に限られている.また,ダイズを主として栽培している海外の国では耐湿性よりも乾燥耐性が着目されており,湿害が問題となっているのは降雨量の多いアジアである.このことからダイズの耐湿性の改良は世界的にみても遅れている状況であり,本研究の社会的意義は高い.
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New Phytologist
巻: - 号: 3 ページ: 936-948
10.1111/nph.18975
月間アグリバイオ
巻: 11月号 ページ: 1064-1068