研究課題/領域番号 |
20K05974
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39010:遺伝育種科学関連
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研究機関 | 新潟薬科大学 |
研究代表者 |
相井 城太郎 新潟薬科大学, 応用生命科学部, 准教授 (10391591)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | ソバ / 異形花型自家不和合性 / 同形花型自家和合性 / Sハプロタイプ / S-supergene / 異形花 / 自家不和合性 |
研究開始時の研究の概要 |
異形花型自家不和合性は、Charles Darwinの著書「Different forms of flowers」(Darwin 1877)に掲載され広く知れるようになり、多くの研究者がその複合適応形質を制御するS-supergeneの分子的実体の解明に取り組んできた。ソバのS-supergeneには、タンパク質をコードする遺伝子としてはS-ELF3のみが存在し、その他に機能性RNAの存在が示されている。本研究では、S-ELF3あるいはタンパク質をコードしない機能性RNAの役割を検証することで、ソバの異型花型自家不和合性の制御機構を解明する。
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研究実績の概要 |
フツウソバの生殖は、異形花型自家不和合性に基づき行われる。異形花型自家不和合性は、複雑形質の代表的な例であり、S座に集約される遺伝子複合体S-supergeneによって、花の形態多型と花粉の自他認識が制御されている。そこで、ソバのS座が如何にして複数の形質を制御しているのか、遺伝的基盤を明らかにするために、花器官のトランスクリプトーム解析及びSハプロタイプ間の比較ゲノム解析を実施する。 これまでの研究で、S座を構成する遺伝子群の一つであるS-ELF3領域が欠失したS-del1変異体を発見している。S-del1変異体は、同形花で自家和合性を示す。そこで、S-del1変異体の花粉を自殖形質供与親とし、ゲノム全域がホモ接合状態であるフツウソバ戻し交雑自殖系統群(BILs)を育成した。そのBILsからSdel1とsハプロタイプをもつ準同質遺伝子系統(NILs)を作出した。Sdel1ハプロタイプをもつNILの雌蕊は、雌蕊の長さが完全に長花柱花形質にシフトしていた。これまでの研究から、短花柱花と長花柱花における雌蕊の形態的差異は、雌蕊を構成する細胞数と細胞サイズの総和の差に起因することを明らかにしている。本研究で作出したSdel1ハプロタイプをもつNILの雌蕊は、雌蕊の長さが完全に長花柱花形質にシフトしていることから、そのS座欠失領域に細胞数と細胞サイズを制御する遺伝子が存在することが示された。また、Sdel1ハプロタイプをもつNILは、雌蕊と雄蕊ともに花粉の自他認識応答が破綻していた。このことは、Sdel1ハプロタイプのS座欠失領域に花粉の自他認識を制御する遺伝子が含まれていることを示している。今後は、S座欠失領域の塩基配列解析と、その領域から転写されるRNAを見出すことで、異形花型自家不和合性の遺伝的基盤を明らかにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究代表者が引き続き病気加療中により研究を十分に進展させることができなかったため、進捗状況は「遅れている」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、上記の計画に基づき、花器官のトランスクリプトーム解析及びSハプロタイプ間の比較ゲノム解析を予定していたが、研究代表者が引き続き病気加療中のため研究計画の見直しを行った。具体的には、各種のSハプロタイプをもつ個体における花器官のトランスクリプトーム解析及び比較ゲノム解析を実施することで、S座による異形花型自家不和合性を制御する遺伝的基盤を明らかにする。また、研究成果の発表等として、学会大会等での報告を実施する(日本育種学会等を予定)。
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