研究課題/領域番号 |
20K05977
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39010:遺伝育種科学関連
|
研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
黒田 洋輔 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター, 上級研究員 (40595071)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
|
キーワード | 脱春化 / テンサイ / 抽苔 / 遺伝子発現 / 開花関連遺伝子 / 脱春化処理 / 抽苔発生 / 開花抑制 / 花成 |
研究開始時の研究の概要 |
温帯から亜寒帯で栽培されるテンサイは二年生であり栄養成長期間が長いほどバイオマス生産性が向上する.生産性をさらに向上させるには通常の種子や苗よりも生育の進んだ植物体を春の段階で定植することが重要と考えられる.しかし,一年目に養成される肥大根は,越冬保存中に春化要求量が満たされ,二年目の春に定植すると生殖成長へと移行(開花)して栄養成長が阻害される問題がある.肥大根の利活用には春化を解除する仕組みが不可欠である.申請者は,高温処理で一度満たされた春化がほぼ完全に解除される現象と脱春化しやすい系統を発見した.この系統を用い,脱春化応答性の分子機構を解明する.
|
研究実績の概要 |
本課題では、栄養成長期間が長いほどバイオマス生産性が向上するテンサイについて、「一度獲得した春化を解除する仕組み」を明らかにすることを通じて、従来から用いられてきた種子や苗の代わりに、より生育の進んだ植物体(以下「肥大根」と呼ぶ)を春の段階で定植する新たな栽培方法を検討する。令和5年度は、これまでに見出された2種類の脱春化しやすい感受性系統(「NK-195BRmm-O」、「NK-377mm-O」)に加え、新規系統の探索を試みた。材料は遺伝的背景が多様な100種類からなるテンサイのコアコレクションである。慣行法の約2倍の育苗期間(86日間)を設け、大型の苗(肥大根)を養成し、99日間の春化処理を加えて、花芽を誘導し、高温のガラス温室(平均24.9℃)で15日間の脱春化処理を与えた。その後、6日間のハードニング期間を経て、圃場へ定植し、抽苔率を9月中旬に調査した。調査の結果、コアコレクションの平均抽苔率は70.2% (標準偏差 30.9%)であり、9種類の抽苔率が10%以下に抑制された。この9種類はこれまでに見出された2種類の脱春化しやすい感受性系統(「NK-195BRmm-O」、「NK-377mm-O」)よりも抑制効果が強い傾向を示したことに加え、そのうちの4系統は「NK-377mm-O」と共通の系統に由来しており、遺伝形質である可能性が示唆された。なお、本実験では、低温要求性の程度(抽苔耐性の強さ)が異なる様々な系統変異が存在することを考慮して、抽苔耐性の基準系統である「モノホマレ(“強”基準)」、「モノパール(“やや強”基準)」、「モノヒカリ(“中”基準)」については、脱春化処理を加えない処理区を設けている。基準系統の抽苔率はいずれも100%であったことから、いずれの系統でも春化処理期間が十分に満たされていたと考えられる。よって、今回新たに見出された9種類は、新たな感受性系統として有望である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
以下の3つの課題について、概ね順調に研究が進んでいる 1 短期間の脱春化処理で花芽の誘導が抑制できる脱春化応答性の高い系統の特定: (概ね完了) 2 脱春化応答性に関与する候補発現遺伝子の絞り込み:(概ね完了) 3 脱春化応答性に関与する塩基多型の探索と候補遺伝子の解明:(概ね完了)
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、見出した材料の生物学的特性(脱春化感受性)の有用性を精密圃場で評価することに加え、次世代シーケンス解析のデータを確認して、候補遺伝子のさらなる絞り込みを進める。
|