研究課題/領域番号 |
20K06004
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39020:作物生産科学関連
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研究機関 | 兵庫医科大学 (2022-2023) 兵庫医療大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
岩岡 恵実子 兵庫医科大学, 薬学部, 講師 (60411980)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | トウキ / 駆お血活性 / 末梢循環障害 / 駆お血 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、漢方製剤の原料として国内でも盛んに栽培され有効成分が未確定である生薬トウキ(当帰)に着目し、トウキの薬用とする部分に薬効成分が多く含まれる最適な栽培条件の確立や、品質が一定した生薬の安定供給に必要となる品質評価法の開発を最終目標とする。様々な栽培条件や調整法の異なるトウキについて、含有成分を網羅的に解析し、駆お血in vivoアッセイ法を用いて駆お血作用を評価することで薬効発現に必要と思われる化合物群を抽出し、活性成分の単離を試みる。このように含有成分、栽培条件および薬効の相関性について検討することで客観的な科学的根拠に基づく『薬効』を第一に考えた“真の品質担保法”の確立を目指す。
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研究実績の概要 |
近年、生薬原料の安定供給を目指すために国内での安定かつ高品質な薬用作物の生産が急務であると考えられ、日本各地で薬用作物の産地化を目指す動きが活発化している。しかし、生薬は気候や産地などの生育環境によって薬効や含有成分に変化が生じる可能性があることから、薬用とする部分に薬効成分が多く含まれる高品質な薬用作物を評価できる品質評価法が必要であるが、必ずしもすべての薬用作物において確立されていないのが現状である。 そこで一定して高品質な生薬の安定供給に必要となる品質評価法の検討や、最適な栽培条件の確立を目的とし、まずは主活性成分が明らかになっていない生薬トウキについて、駆お血モデルマウスを用いた末梢循環障害改善物質の探索を行っている。今年度、トウキの製造方法による含有成分と薬効との相関を検討するために、トウキの苗を本学薬用植物園に定植し、これまで栽培していたトウキを掘り起こし、60度湯もみ群と水に浸水した群のサンプルを作成した。また、昨年度から引き続き、有効成分が未だ明らかになっていない生薬トウキの有効成分解明を目的として、駆お血活性試験の結果を指標に各種クロマトグラフィーを用いて分離精製を行った。また、GCMSなどを使用して活性のあったフラクションに含有する成分分析を行った。そのなかで、トウキは多種の糖やアミノ酸を含み、アミノ酸の中でもL- arginineを多く含有することが明らかになった。L- arginineは一酸化窒素(NO)合成酵素の基質であり、血管内皮でNOを産生して血管拡張作用を示すことが知られていることから末梢循環障害改善効果を確認したところ、有意な改善効果がみられた。そこで今後は、adenosineおよびL-arginineについてトウキエキス中の含有量に換算した投与量での効果を確認することで、トウキの駆お血活性への関与を検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
前年度から引き続き、進捗は遅延している状況である。
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今後の研究の推進方策 |
今回、トウキエキスにL-arginineの含有を確認したことから、さらにトウキの駆お血活性に対するL-arginineの影響を検討したいと考えている。方法としては、NO合成酵素阻害剤の投与により、マウスのNO産生が阻害され末梢血流量の低下が観察できると推察しており、この血流量低下に対するトウキの効果を評価することでトウキの駆お血活性におけるL- arginineの関与をさらに確認できると考え、この新たな評価法の確立を試みる予定である。 さらに、adenosineおよびL-arginineについてトウキエキス中の含有量に換算した投与量での効果を確認することで、トウキの駆お血活性への関与を検討する。 このように、未だ解明されていないトウキの駆お血活性の主活性成分を明らかにすることができれば、動物実験を行うことなくHPLCによる成分分析のみで簡便に薬効を伴う品質評価を検討することが可能となり、非常に実用性が高いと思われる。今後の生薬原料の安定な供給確保のためには、日本各地での薬用作物の栽培が必要であるが、従来どおりの薬効を伴わない主要成分を指標とした品質評価ではなく、薬効を担保し、かつ、簡便な品質評価法を用いて栽培条件を決定することで、科学的根拠をともなうより効果の高い高品質な生薬原料の流通を可能とし、人々の健康増進に寄与することが期待できる。
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