研究課題/領域番号 |
20K06015
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39030:園芸科学関連
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
本橋 令子 静岡大学, 農学部, 教授 (90332296)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 遅延蛍光 / 光合成 / シロイヌナズナ / サイクリック電子伝達経路 / 環境ストレス / 日変動 / 遺伝子破壊株 / 遅延発光 / 葉緑体タンパク質 / 日変動応答 |
研究開始時の研究の概要 |
栽培環境によって、作物は大きく品質や収量に影響を受ける。植物から検出される微弱な発光である遅延発光は、光合成機能と密接に関係しており、研究代表者はシロイヌナズナの葉緑体タンパク質遺伝子破壊株から野生型と異なる遅延発光減衰波形を示す変異株を多数単離した。また、遅延発光により評価できるストレス要因を把握し、ストレス評価方法も確立し、1日を通して変動する光や温度が与える光合成への影響を遅延発光減衰波形によって観察した。本研究計画では、葉緑体タンパク質遺伝子のタグラインや遺伝子強制発現系統から遅延発光を観察して、光や温度の日変動応答に関与する遺伝子を探索し、環境の日変動応答メカニズムを解明する。
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研究成果の概要 |
遅延蛍光は、励起光停止後に電子伝達経路の逆反応によりP680が再励起されて放出される微弱で長い秒単位の蛍光であり、サイクリック電子伝達経路を含む電子伝達系からカルビン・ベンソン回路といった光合成の広範囲を反映する。光合成には多くの栄養元素が関与していることから、遅延蛍光が植物の栄養状態を反映する可能性がある。各栄養元素を欠乏させた培地を用いてシロイヌナズナを水耕栽培した結果、N、P、K、Fe、Mg、Mn、Cu欠乏において光条件での遅延蛍光減衰曲線が通常条件と比較して変化した。しかし、Zn、S欠乏においては明確な変化が現れなかった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
近年、植物工場や藻類の大量培養など光合成生物の産業利用が急速に進展しているなかで、光合成のモニタリングが重要であり、新規の光合成活性測定装置への期待は高い。本研究は、フォトン検出レベルの高感度光検出器による遅延蛍光の測定を栽培植物に適用し、光合成の生理状態を評価する。温度や光環境の植物の生理的な影響だけでなく、栄養欠乏から、乾燥ストレスの影響を遅延蛍光の減衰曲線の変化で検出でき、スマート農業や精密農業の作物生育管理手段として大きく貢献する。また、モデル植物の遺伝子変異株を用いて生理学的な基盤知見が蓄積され、遅延蛍光減衰曲線の成分が光合成のどの部分を指標としているか評価も可能である。
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