研究課題/領域番号 |
20K06027
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39030:園芸科学関連
|
研究機関 | 独立行政法人酒類総合研究所 |
研究代表者 |
小山 和哉 独立行政法人酒類総合研究所, 研究部門, 副部門長 (30416424)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
|
キーワード | 環境応答 / 二次代謝 / 香気成分 / フェノール化合物 / エピジェネティック解析 / ブドウ / 気象 / 遺伝子発現解析 / 二次代謝産物 / テロワール / 醸造用ブドウ / DNAメチル化 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、全国実証圃場の成熟期に経時的にサンプリングされたブドウ果実を用い、代謝産物組成分析、網羅的遺伝子発現解析、エピジェネティック解析を行い、栽培地におけるブドウの環境順応機構の解明に向け、取得したデータを統合的に解析するとともに、集積したデータより栽培地マーカーの抽出を行う。また、気象・土壌データとの相関解析による品質成分蓄積への環境要因の抽出及び栽培試験によるその影響の確認を行う。
|
研究実績の概要 |
本研究では、全国栽培地の醸造用ブドウのソーヴィニヨン・ブラン果実及び製成したワイン中のフェノール化合物や香気成分(前駆体)などの品質成分の詳細を複数年にわたって解析し、これまでに、その成分の主成分解析プロットにおいて、冷涼な地域と温暖な地域など地域間でプロットが偏在する傾向が認められた。気象データと品質成分との関連を調べるため、各圃場における気象観測データを用い、その関連について多変量解析(SIMCA、マルチブロック直行成分分析)を行ったところ、地域間差に関連する多くの成分には気温の影響が大きいことが明らかとなっている。本年度さらに解析を進めたところ、成分によっては、気温以外の気象要因の影響を受けることがわかった。また、ブドウ樹の水分状態に応じた変動を示すδ13C、総窒素含量などの栽培パラメーターが栽培地における品質成分へ及ぼす影響についてはそれほど大きくないことが示された。 一方、栽培環境が醸造用ブドウのエピゲノムに及ぼす影響を解析するため、DNAメチル化のサンプル間差を検出する方法であるMSD-AFLP法について、これまでにブドウでの解析に最適な条件を設定し実サンプルで解析を行ってきたが、本年度、前年に引き続き、栽培処理(水分ストレスなど)を行ったブドウ樹において分析を行い、2ヶ年にわたり解析をおこなったところ、種々の栽培処理によって一貫して変動するフラグメントが抽出され、栽培環境がDNAのメチル化のプロファイルに影響することが確認された。 そこで、品質成分解析に用いた全国栽培地のソーヴィニヨン・ブランの果実サンプルを用い、MSD-AFLP解析を行い、栽培地におけるプロファイルを比較し、地域間の違いに関連するMSD-AFLPフラグメントの抽出を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
フラグメント解析(MSD-AFLP解析)にあたって、旧型のシーケンサーの保証期間が過ぎ、消耗品が手にはいらなくなったため、解析に用いるシーケンサーの変更を行った。旧型及び新型シーケンサーでは、テータ出力形式が異なるため、従来使用していた解析ソフトウェアが使用できなくなったため、別ソフトウェアによる解析方法の検討などに時間を要した
|
今後の研究の推進方策 |
今後、MSD-AFLP解析によって栽培処理によって変動がみられたフラグメント、また、地域間によって異なるパターンを示したフラグメントのシーケンス解析及びIN SILICOでの解析によって、ゲノムのメチル化部位、また、関連する遺伝子の特定などを進める。 さらに、複数年の解析によって蓄積したデータを用いて、地域間の違いに関連する特徴的な成分及びメチル化部位などの栽培地マーカーの抽出及びその関連の解析を行うとともに、影響する栽培要因について検討を行う。また、これらの結果をとりまとめ、栽培地における醸造用ブドウの品質及び環境順応機構について考察する。
|