研究課題/領域番号 |
20K06035
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39030:園芸科学関連
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
平野 智也 宮崎大学, 農学部, 准教授 (80455584)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 重複受精 / 胚発生 / 重イオンビーム / 雄性配偶子 / 花粉 / 非還元性配偶子 |
研究開始時の研究の概要 |
放射線の一種である重イオンビームをヒガンバナ科キルタンサスの二細胞性花粉に照射することで誘導された非還元性雄性配偶子「雄原細胞様精細胞」が、胚発達を伴わない異常胚乳形成に関与する可能性が示唆されている。本研究では、この異常胚乳形成過程を精査し、雄原細胞様精細胞の受精様式と受精能力、異常胚乳の倍数性を明らかにする。さらに、異常胚乳および胚にならない卵細胞(または受精卵)は、多様な倍数性を示す可能性があるため、胚珠培養と胚嚢培養による植物体再生を試みる。半数体から四倍体の誘導に加え、迅速な染色体添加、染色体欠失系統の作出など、人為誘発した非還元性雄性配偶子の活用による倍数性多様化の可能性を探る。
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研究実績の概要 |
本年度は、前年度に引き続き炭素イオンビーム40 Gyまたはアルゴンイオンビーム10 Gyを照射した花粉を授粉させ、14日後の胚珠を子房内から無菌的に摘出し、胚珠培養を行うことで胚乳由来のカルス誘導および植物体再生を試みた。培地には、オーキシンとしてピクロラム、サイトカイニンとしてベンジルアミノプリンをそれぞれ単独または組み合わせて添加した。カルス化やシュート形成が見られたものにおいて、フローサイトメトリー分析による倍数性の確認を行った。その結果、炭素イオンビーム照射由来の花粉を授粉した胚珠において3倍体のカルスが形成されていることが確認された。胚乳培養により3倍体カルスが誘導されたことが報告されていることから、胚乳由来のカルスであると推測される。現在までに異常胚乳に由来するような異数性のカルス等は見られていないが、供試サンプル数が十分とは言えないため、さらに多くの胚珠を培養し倍数性の確認を行う必要がある。 炭素イオンビーム40 Gyまたはアルゴンイオンビーム10 Gyを照射した花粉を授粉した場合には、胚珠の肥大率が低下することから未受精の胚珠が増加していることが示された。線量を炭素イオンビーム20 Gyアルゴンイオンビーム5 Gy照射花粉を用いた結果、胚珠の肥大率が増加した。さらに、オーキシンとして2,4-ジクロロフェノキシ酢酸、サイトカイニンとしてチジアズロンを加えて培地に添加する植物成長調節物質の種類および濃度を検討することで、胚または胚乳由来のカルス形成を促進することを試みた。植物成長調節物質の組み合わせにより形成されるカルスの形状等に違いが見られている。培養を継続し、倍数性の確認を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度実施した胚珠培養では、カルス誘導に成功し倍数性の調査が可能な段階まで計画を推進することができたが、より効率的な培地条件の検討のために多くの試験区の設定が必要になった。また、十分な反復数を確保するためにも、研究期間延長し評価を行うこととした。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は令和4年度に計画していた研究計画に沿って各種実験を実施する。胚珠培養を継続し、倍数性の調査およびカルスからの植物体再生を試みる。受精および胚発生に必須な雄性配偶子側の因子における遺伝子発現量を解析することで、雄原細胞様精細胞における受精能の有無を評価する。これらに加えて、胚嚢内の細胞骨格から巨大胚乳核形成過程や胚珠培養による胚や胚乳の発達過程の詳細を明らかにする
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