研究課題/領域番号 |
20K06063
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39040:植物保護科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
古田 賢次郎 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, 主任研究員 (00575532)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 幼若ホルモン / アンタゴニスト / 昆虫成育制御剤 / 農薬 |
研究開始時の研究の概要 |
幼若ホルモン(JH)は,脱皮や変態など昆虫の成育に重要な役割を果たしていることから,その機能を制御するJH受容体Methoprene-tolerant(Met)は,これまでにない作用機序を有する昆虫成育制御剤の標的分子として注目されている. これまでに,モデル昆虫であるカイコのMetに対して高いJH拮抗阻害活性を示す化合物を見出しており,それらがカイコ幼虫に対しても高い生物活性を示すことが確認されている.そこで本研究では,より実用的なJH拮抗阻害剤の利用を目指して,農業害虫のMetを標的とした高活性かつ選択性の高いJH拮抗阻害剤の開発を目指す.
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研究実績の概要 |
本研究は、昆虫の正常な成長に必須なホルモンである幼若ホルモン(JH)に着目し、農業害虫においてJHの機能を特異的に阻害するJHアンタゴニストを開発することを目的としている。 昨年度までの研究で、カイコに対して生物活性を示さないが、同じチョウ目害虫であるシロイチモジヨトウに対して、変態阻害活性を示す新規化合物SF28を見出している。SF28はJHアゴニスト様活性を示したことから、本年は、SF28のin vtroにおける生物活性を検討するとともに、ドッキングシミュレーションに基づいたSF28の構造と活性の関係を調べた。 まず、カイコ培養細胞を用いたレポーター遺伝子アッセイにおけるSF28の生物活性を検討したところ、SF28は弱いJHアンタゴニストしか示さず、JHアゴニスト活性に関しては認められなかった。このことから、SF28はカイコに対してin vitroおよびin vivoにおいても活性を示さないことが明らかになった。 次に分子シミュレーションソフトMOEをもちいてヨトウガのJH受容体(Met)とのドッキングシミュレーションを行った。その際、Metの構造モデルに高精度なタンパク質予測が可能であることから注目されているAlphaFold2によるモデリングを使用した。その結果、SF28の4-メトキシベンジル基をより立体障害の小さいアルキル基に改変することで、親和性が向上することが推察された。そこで、様々な誘導体を合成し、シロイチモジヨトウに対する生物活性を調べた。n-ブチル基を導入したSF38において、脱皮不全による高い致死活性が認められた。SF38はカイコに対しては非常に弱い早熟変態誘導活性を示したことから、JHアンタゴニストとして作用していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
受容体結合試験で使用するMetについて、大腸菌によるMetタンパク質の発現および抽出は問題なく行えたが、精製後の夾雑タンパク質が多いため、等温滴定カロリメトリーによる解析が実施できなかった。精製法の検討を実施しているため進捗がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
最優先で等温滴定カロリメトリーによるカイコおよびヨトウガのJH受容体との結合阻害試験系の構築を行う。構築後は、自身の所有するJHアンタゴニストを用いてスクリーニングを行い、害虫に対してのみ生物活性を示すJHアンタゴニストの選抜を行う。
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