研究課題/領域番号 |
20K06069
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39050:昆虫科学関連
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
岩永 将司 宇都宮大学, 農学部, 教授 (40400717)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | BmNPV / バキュロウイルス / 死後溶解 / カイコ / ミトコンドリア / 昆虫ウイルス / 共生 |
研究開始時の研究の概要 |
昆虫ウイルスは、組換えタンパク質の発現系として利用されるほど、旺盛に増殖し大量のタンパク質を合成する事が知られている。しかし、ウイルス感染細胞においてATP産生量の最適化・最大化がどの様に制御されているか、その要となる宿主細胞のエネルギー代謝機構(ミトコンドリア)とウイルスの関わり合いについては不明な点が多い。そこで本研究では、ミトコンドリアに局在する昆虫ウイルス由来タンパク質を単離・同定し、その機能を明らかにすることで、昆虫ウイルスがミトコンドリアをどの様に制御し、そしてどの様にその活性を最大化(最適化)しているのか明らかにする。
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研究成果の概要 |
カイコ核多角体病ウイルス(BmNPV)の感染と宿主ミトコンドリアの関わりを明らかにするため、ウイルス感染細胞のミトコンドリア特異的なタンパク質を2次元電気泳動で解析した。その結果、BmNPVのGP37が宿主ミトコンドリアに局在することを明らかにした。次に、GP37欠損ウイルス株(Bm52D)を作製し、GP37の機能解析を行った結果、GP37がキチン結合能を有するODV構造タンパク質であること、N型糖鎖の翻訳後修飾を受けていることを明らかにした。また、培養細胞では、GP37欠損の影響は認められなかったが、カイコ幼虫では半数致死濃度の低下や半数致死時間の延長が生じることが明らかになった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ミトコンドリアはエネルギー生産の場であり、エネルギー生産系を持たないウイルスにとっては重要な細胞小器官である。そのため、本研究によってミトコンドリアに局在するウイルス由来タンパク質を発見したことは今後の研究展開に大いに期待出来る。また、斃死体で観察される液状化は、バキュロウイルス感染の大きな特徴であり、液状化によって幼虫に内包されていたウイルス封入体が環境中へ拡散するための重要な現象である。本研究で、液状化に関わる新たなウイルス由来因子を同定できたことは、今後のバキュロウイルス学のみならず、表皮溶解のメカニズムという点で大きなインパクトをもたらすと考えられる。
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