研究課題/領域番号 |
20K06084
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39050:昆虫科学関連
|
研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
杉本 貴史 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, 契約研究員 (20726707)
|
研究分担者 |
佐原 健 岩手大学, 農学部, 教授 (30241368)
陰山 大輔 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, 上級研究員 (60401212)
長峯 啓佑 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, JSPS 特別研究員 (20817548)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | 生殖操作 / アズキノメイガ / レトロトランスポゾン / 転移因子 / オス殺し / 性決定 / トランスポゾン / メス化 / B染色体 / 性比異常 / W染色体 / ゲノムコンフリクト / オス特異的致死 / 性染色体 |
研究開始時の研究の概要 |
アズキノメイガでは、しばしば共生細菌感染に依らずメスのみを産む個体が採集される。これはゲノム上に新規に生じた性を歪める因子によって誘導され、その因子はメス親から娘にのみ伝わるW染色体もしくは過剰染色体(B染色体)上に新規に生じたと推定された。本課題では、この因子がどのような遺伝子であり、ゲノム進化にどのような影響を与えているかについて解析を進める。
|
研究成果の概要 |
チョウ目昆虫アズキノメイガの野外個体群から、性比がメスに大きく偏る性比異常系統(SR系統)を獲得した。この系統では、性比をメスに偏らせる因子sex-ratio distorting element (SR因子)を保持していることが推定され、RNA-seq解析により、SR因子候補として取得することに成功した。本申請課題の結果、このSR因子は、常染色体もしくはZ染色体に座乗すると推定される複数のレトロトランスポゾン様配列である可能性が強まった。これらの配列は一様にほぼ共通するシーケンス配列を有し、長い繰り返し配列に挟まれた4000bp程度のレトロトランスポゾンと推定された。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
レトロトランスポゾンに代表される転移因子は、性決定機構の進化に重要な役割を果たすと推定されてきた。本申請課題では、世界で初めて、昆虫の性をメスに変化させるレトロトランスポゾンと考えられる配列が、当初想定されたW染色体ではなく、常染色体やZ染色体のような組換えが生じる染色体に座乗すると推定される結果を得た。本成果は、性決定機構の進化の貴重な途中経過の観察に成功した事例と考えられる。また、性決定機構の進化について、新規に生じた性決定因子が旧来の性決定遺伝子に単純に置き換わるわけではなく、当初は協働しつつ次第に旧因子の役割を吸収していくという、新しい仮説を提示する重要な発見と位置付けられる。
|