研究課題/領域番号 |
20K06089
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39060:生物資源保全学関連
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
江成 広斗 山形大学, 農学部, 教授 (90584128)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 撹乱 / ニホンザル / イノシシ / ニホンジカ / 多雪 / 再野生化 / 多種共存 / 採食 / 生物間相互作用 / 攪乱 |
研究開始時の研究の概要 |
増加する世界人口の一方で、アジアや欧州では人口減少が予想され、人為攪乱によって維持される多種共存プロセスの保全が課題となっている。そこで、人口減少国の先頭に立つ日本において、害獣として排除されやすい哺乳類(シカ・イノシシ・サル)がもたらす攪乱に注目し、「人為攪乱依存の多種共存プロセス」との代替可能性を評価する。ただし、哺乳類由来の攪乱が過度な場合、そのプロセスは負の影響を受ける。本研究により特定された過度な攪乱については、縮小社会において攪乱を軽減するための管理コストを評価し、実装可能な対応策を提案する。
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研究成果の概要 |
東北地方の多雪地において、大型獣の分布回復が近年顕著である。本研究では、これら獣種の採食に伴う攪乱に注目し、①攪乱頻度に及ぼす環境条件の特定、②攪乱が多種共存にもたらす影響の評価、③過度な攪乱に対する管理コストの算定、に取り組んだ。その結果、①サルの採食が植物個体レベルに及ぼす影響は限定的である一方、群集レベルでは好適な餌食物を増加させる機能を持つこと、②イノシシの掘り起しはブナ林の下層植生に対して負の影響をもたらす一方で、高齢人工林には正の影響をもたらすこと、③シカの採食圧の影響は広域的に徐々に累積し、その攪乱の管理コストは今後急速に高まること、などが明らかになった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
東北地方で近年顕著に分布回復がみられるサルやイノシシは里山を代表する大型の哺乳類であるが、昨今の農林業被害の深刻化を受けて、「害獣」として広く認識されている。その結果、大規模な捕獲が各地で行われるようになった。一方で、本研究を通して、サルは植物群集を改変する生態系エンジニアになりうること、イノシシの掘り起こしは管理放棄により高齢化したスギ人工林地の多種共存を回復させるプラスの効果をもたらしうることなどが明らかにされた。これらの結果は、自律的な生態系を取り戻す「再野生化」の試みにおける、大型獣のもつ生態学的機能の理解に貢献するものと考えられる。
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