研究課題/領域番号 |
20K06108
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39070:ランドスケープ科学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
加藤 禎久 岡山大学, グローバル人材育成院, 准教授 (40625092)
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研究分担者 |
菱山 宏輔 専修大学, 人間科学部, 教授 (90455767)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 伝統的緑地 / 相互扶助 / 観光 / 植生 / アンケート / テラジャカン / バリ / 緑地機能分析 |
研究開始時の研究の概要 |
インドネシア・バリ島の伝統的家屋敷の「外庭」であるテラジャカン(TJ)は、「バリらしさ」を保つうえで重要な文化的・機能的特性を有するが、観光化や都市化の影響で消失しつつある。本研究では、減少圧下でも残存し、保全・活用されるTJ機能、利用、管理の仕組みを明らかにする。研究方法は、TJが残存する未開発、観光化、都市化された3村を対象に、TJ植生調査による定量的手法と、社会文化的要素を抽出するためのアンケート・インタビューによる定性的手法を、多変量解析手法で融合的に組み合わせる。本研究の生態・社会文化的な統合分析結果は、地域の風土・特色に立脚した持続可能なランドスケープの創造において肝要である。
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研究実績の概要 |
本研究は、インドネシア・バリ島の伝統的家屋敷に備えられてきた小規模な緑地であるテラジャカン(以下、TJ)を研究対象にしているため、新型コロナウイルスの世界的感染拡大で現地調査ができなかったことによる甚大な影響を受けた。このように当初の研究計画の実施が非常に困難な状況の中、2020年度は、幸いにも先行調査結果が手元にあったため、これに基づき主に学会・研究会で発表することにより、研究内容の「広報」を行った。発表に関する具体的な実績は以下の通りである。
グリーンインフラ・ネットワーク・ジャパン全国大会、日本造園学会関東支部大会、日本造園学会グリーンインフラ研究推進委員会において、研究内容と手法について説明すると同時に、中山間部で観光化されても逆にTJを活用して観光客の増加、地域振興につなげているバンリ県プンリプラン村のTJ調査結果の一部について発表した。植生調査および配布型アンケート調査結果によると、プンリプラン村では観光客を楽しませる(呼び込む)ためにTJを活用しており、一斉植栽などで審美目的の一年草が増えたが、伝統的な宗教祭礼用(村の祭りでの葉や花を利用する)用途も残っていることが分かった。また、植生種の多様性は、TJ面積および世帯収入に正比例していた(分析したサンプル数がまだ少ないので、解釈には注意が必要)。さらに、観光化しているが、TJの維持管理、利用を通じた相互扶助の仕組みが村をひとつにしていることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルスの世界的感染拡大および渡航規制により、予定していた海外調査に全く行くことができなかったため。終了年度の延長を含めて今後の研究計画を見直している。
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今後の研究の推進方策 |
今年度も海外調査に行けない最悪の事態を想定し、スケジュールの抜本的な見直しが必要である。2021年度は、背景となる文献のレビューを行う。具体的には以下の通り。(1)バリの歴史・文化・宗教についての文献を整理し、TJ植生に影響を及ぼす社会文化的要因を抽出する際のヒントを見出す。(2)伝統的建築における「間」に関する文献を整理する。TJは、家屋敷の門(ゲート)と塀を併せて「ゲート空間」を構成している。つまり、敷地内と外、私的領域と公共領域をつなぐ「境界領域」である。こうした境界領域が日本とバリの伝統的建築ではどのように扱われているのかを、文献を活用して調査する。(3)同様に、生態学の境界領域、つまりエコトーンに関する文献をレビューする。
今年度も海外調査を実施できなければ、終了年度は延長せざるを得ないと考える。その場合、当初3年間の予定のフィールド調査を、2022年度と23年度に凝縮して行うことになる。海外調査に伴う支出計画などの見直しを進めていく。
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