研究課題/領域番号 |
20K06112
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39070:ランドスケープ科学関連
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
内藤 和明 兵庫県立大学, 地域資源マネジメント研究科, 教授 (50326295)
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研究分担者 |
山室 敦嗣 兵庫県立大学, 地域資源マネジメント研究科, 教授 (90352286)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 天然記念物 / 維持管理 / 管理団体 / 生業 / 地域資源 |
研究開始時の研究の概要 |
本課題では,農林水産業に代表される生業や伝統的な生活様式との密接な関わりを持つ「文化的景観」を持続的に維持管理する上での課題と対策を検討し持続的管理のあり方を提案する.そのために,1)農林水産業に代表される生業や伝統的な生活様式との密接な関わりがあり「文化的景観」とみなされる天然記念物の数や地理的分布,2)維持管理の担い手である「保存会」について,その有無,組織の構成や活動内容,および生業や地域(集落)との関係を含めた特性,3)指定物件の保全状況と周辺環境の変遷,を明らかにする.
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研究実績の概要 |
維持管理に比較的多くの労力を要すると考えられる遷移途上の植生で,かつ異なる地方に複数の指定物件が存在するためモデルケースに選定したエヒメアヤメの自生地の中から広島県の自生地を選び,保存会による植生管理と個体群の状況を調査した.当地では地域住民による保存会が1960年代に組織され,植生管理として天然記念物指定地内の下草刈りが行われてきた.下草刈りは2月と8月の2回行われるが,その実施範囲はエヒメアヤメが分布する草原状の部分に限定され,指定地全体の半分以下である.残りの部分では植生管理が行われなかったため,当初のアカマツ林から常緑および落葉の広葉樹林に遷移し,また一部ではスギあるいはマダケが優占している.個体群調査では下草刈りの実施範囲を4つのゾーンに区分してエヒメアヤメの個体数および開花結実を記録し,また相対光量子密度を各ゾーンで測定した.過去に調査が行われている2014年と比較すると,総個体数は979から549に,開花個体数は482から282に,総花数は1,679から617にそれぞれ減少したことが明らかになった.個体数および花数の減少は谷状地形のゾーンにおいて顕著であった.また,樹木の生長により樹冠が閉鎖したゾーンからは個体が消失していた.個体数および花数が減少したゾーンでは,2003年時点の値と比較して相対光量子密度が低下していた.以上により,周辺の生長した樹木を伐採するなどの管理が行われなかったために,草原部分に生育するエヒメアヤメの総個体数,開花個体数,総花数が減少したことが示唆された.このことから,エヒメアヤメが生育する範囲の植生は保存会が行う下草刈りにより維持されているものの,樹木伐採のような長期的な維持管理の意思決定においては管理者である行政の関わりが重要と考えられた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
モデルケースに選定したエヒメアヤメの自生地の調査の進行に対して,管理団体以外の管理組織(いわゆる保存会等)の役割に関する追加調査が遅れているため.
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今後の研究の推進方策 |
管理団体以外の管理組織(いわゆる保存会等)が果たす役割についての調査を継続する.
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