研究課題/領域番号 |
20K06141
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40010:森林科学関連
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研究機関 | 秋田県立大学 (2021-2022) 東京大学 (2020) |
研究代表者 |
梅林 利弘 秋田県立大学, 生物資源科学部, 特任助教 (20585997)
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研究分担者 |
山田 利博 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (30332571)
内海 泰弘 九州大学, 農学研究院, 准教授 (50346839)
山田 晋也 静岡県農林技術研究所, 静岡県農林技術研究所, 上席研究員 (20502579)
野末 尚希 静岡県農林技術研究所, 静岡県農林技術研究所, 主任研究員 (80738493)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 木部の老化 / 柔細胞 / タラノキ / ヌルデ / ヤマザクラ / ミズナラ / 木部 / 心材形成 / 落葉広葉樹 / 水輸送 / 心材腐朽 / 木材腐朽菌 |
研究開始時の研究の概要 |
木材腐朽の予防には心材形成及び心材腐朽機構の理解が不可欠である。しかし、辺材から心材に至るまでの木部の老化現象は、樹木の内部で進行するため、樹木生理学的観点からも未解明な点が多い。そこで本研究では、早期に心材形成が開始される樹種を用いて、環境ストレスと心材形成開始時期の関係を明らかにするとともに、人為的に水ストレスにさらした苗木を作成し、木部機能の喪失から心材形成に至るまでの木部の老化機構の全容を明らかにする。さらに、心材形成部位と未形成部位を対象とした心材腐朽菌類の接種試験により、外傷から侵入する心材腐朽菌類の感染経路に関する詳細な知見を取得し、立木における心材腐朽診断技術の向上を目指す。
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研究実績の概要 |
落葉広葉樹の樹幹における心材形成機構を明らかにすることを目的とし、緯度の異なる国内3地域(北海道足寄町、埼玉県秩父市、静岡県浜松市)の苗畑に植栽された広葉樹4種(タラノキ・ヌルデ・ミズナラ・ヤマザクラ)を対象に、生育調査を行うと共に、組織学的手法を用いて木部の生理変化を検討した。その結果、植栽2年目(2022年)においても、4種の樹高と地際直径は浜松の個体が最も大きく、足寄の個体が最も小さい傾向を示した。足寄におけるタラノキとヌルデは5月に地上部が枯れたが、その後に萌芽成長し、樹高と地際直径は昨年度よりも大きかった。樹種毎の地際付近における主幹を対象に、髄付近における木部の着色の有無を肉眼で観察した結果、タラノキだけでなく、秩父・浜松のヌルデと足寄のヤマザクラにおいても認められた。一方、秩父・浜松のヤマザクラと全地域のミズナラに関しては、着色された木部は認められなかった。 木部の水輸送経路を染色液吸引法により可視化するとともに、木部切片における柔細胞のデンプンと核の有無を検討するために、ヨウ素液とDAPIを用いて顕鏡した。その結果、いずれの樹種においても、樹皮側の木部は、道管による水輸送がなされており、柔細胞はデンプンと核を含んでいた。一方、着色域の木部では、水輸送機能が失われていた。タラノキはデンプンも核も認められず、ヌルデはデンプンがほとんど認められなかったが、いくつかの細胞では核が認められた。ヤマザクラは、樹皮側の木部よりもデンプン数は減少したが、着色域でも大半の柔細胞でデンプンが認められた。これらの結果から、広葉樹の着色された木部は、通水機能の停止と柔細胞の老化が起きており、樹種毎や地域毎でその老化特性が異なることが考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
タラノキは着色心材を確認でき,ヌルデ・ヤマザクラも木部の着色が認められ、着色域における柔細胞の老化が認められた。そのため、心材形成を解明するために必要な樹種の選定や試料の入手が可能になった。さらに、秩父・浜松のタラノキ・ヌルデを対象に、地際付近に心材腐朽菌類の一種であるナミダタケモドキの接種試験を行ったため、心材腐朽に関する研究も行うことが可能になった。また、足寄のタラノキ・ヌルデは地上部の枯れが毎年起きていたため、寒冷地における2種の木部の老化に関する知見が不足していた。そこで、秋田県大潟村(秋田県立大学アグリイノベーション教育研究センターの圃場)に4種を新たに植栽し、今後は寒冷地における心材形成の種特性に関する知見の蓄積も可能になると考えているためである。
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今後の研究の推進方策 |
着色域が観察された足寄のヤマザクラ、秩父・浜松のヌルデに関しては、着色域にて木部の老化が進行し、柔細胞の核が無くなり心材が形成されると予想している。そこで、木部の着色域が心材となる季節やその環境要因を特定するために、今後も試料採取・組織観察を継続する。浜松・秩父のタラノキ・ヌルデに関して、着色域に心材腐朽菌(ナミダタケモドキ)の接種試験を行っており、接種の影響を評価する。大潟の植栽木に関しては、4種とも地上部が枯れていなかったため、寒冷地における種毎の心材形成の種特性を組織学的手法により検討する。
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