研究課題/領域番号 |
20K06148
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40010:森林科学関連
|
研究機関 | 滋賀県立大学 |
研究代表者 |
泉津 弘佑 滋賀県立大学, 環境科学部, 講師 (20579263)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 外生菌根菌 / 細胞壁分解酵素 / アグロバクテリウム法 / ホンシメジ / アカマツ / 遺伝子破壊 / セノコッカム / 全ゲノム比較 / 菌根共生 / インシリコ解析 / 遺伝子ノックアウト |
研究開始時の研究の概要 |
外生菌根菌ホンシメジ(Lyophyllum shimeji)-宿主植物アカマツ(Pinus densiflora)の実験系を用いて、外生菌根共生メカニズムの解明を目指す。これまでにホンシメジで確立した効率的な「遺伝子破壊法(Targetted Gene Disruption)」を用いて、外生菌根共生に関連すると予測される遺伝子群の各破壊株を作出し、宿主植物アカマツとの共生試験を行う。
|
研究実績の概要 |
これまでに、菌根性担子菌類および腐生性(非菌根性)担子菌類の大規模なゲノム比較実験をおこない、菌根性担子菌類の多くが分泌型の植物細胞壁分解酵素をコードする遺伝子群を欠損していることを見出した。この結果は、外生菌根菌の進化において「植物への攻撃性」を失うことが重要であったことが強く示唆している。本年度はアグロバクテリウム法を用いて、腐生性担子菌であるヒラタケ由来の細胞壁分解酵素GH115(Glycoside Hydrolase 115)をコードする遺伝子を外生菌根菌ホンシメジに導入することに成功した。現在、この遺伝子組換え株を用いて宿主植物アカマツとの共生試験をすすめている。また、菌類が植物への感染に普遍的に利用すると予測しているホメオボックス遺伝子STE12について、ホンシメジの遺伝子破壊用プラスミドを構築した。現在、遺伝子破壊試験をすすめている。 また、菌根共生試験において外生菌根菌ホンシメジが根の細胞のどこに存在しているのかを判別することは容易でない。そこでホンシメジ由来のActinプロモーター制御下で蛍光遺伝子mCherryを発現させるベクターを構築し、ホンシメジ野生型株に導入した。その結果、遺伝子組換え体の作出に成功し、蛍光顕微鏡において赤色蛍光を確認できた。この菌株を用いてアカマツとの共生試験をすすめている。 代表的な菌根菌性子嚢菌であるセノコッカムについても遺伝子組換系の構築を試みている。今年度はアグロバクテリウム法の各種条件を検討しものの、現在までに遺伝子組換え体は取得できていない。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
大規模な全ゲノム比較試験から見出した細胞壁分解酵素GH115遺伝子の異種発現株作出に成功するなど、遺伝子組換え試験についてはおおむね順調である。STE12遺伝子破壊株についてもこれまでの実績から十分に取得可能と考えている。また、蛍光遺伝子mCherryを発現する菌株の作出にも初成功し、今後の共生試験に活かすことができると強く期待できる。一方で、アカマツとの共生試験については、(新型コロナウイルス感染症の影響もあり)やや遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでに取得した各種遺伝子組換え株とアカマツとの共生試験を順次すすめていく予定である。また、STE12遺伝子については遺伝子破壊ベクターを構築済みであり、破壊株作出をおこなう。外生菌根性子嚢菌であるセノコッカムについても今後の比較研究のため、遺伝子組換え系を構築したい。
|