研究課題/領域番号 |
20K06160
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40020:木質科学関連
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
三亀 啓吾 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (70571701)
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研究分担者 |
佐藤 伸 青森県立保健大学, 健康科学部, 教授 (40310099)
向井 友花 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 教授 (60331211)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | リグニン / フェルラ酸 / 米ぬか / キノコ廃菌床 / 酸化分解 / 生理活性 / 酒米 / 米糠 / 木材腐朽菌 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,リグニン酸化分解物の機能化と,リグニン構造と生理活性の相関解明に向け,二つのアプローチに取組む。①フェルラ酸を含む米糠をキノコ培地に添加し,キノコのフェノール酸化酵素によりリグニンにフェルラ酸を結合させ高い生理活性を有するリグニン酸化分解物を生産する。続いて②化学的酸化分解時にアルカリ酸化分解物の再縮合の制御や多価フェノールの選択的グラフティングにより抗酸化活性やタンパク質吸着性の向上を図る。これらにより更なる高機能化を目指したリグニンの生物的及び化学的酸化分解を検討する。そして,動物実験等を用いた生理活性試験を行い,リグニンの高付加価値化を達成する。
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研究実績の概要 |
これまで自然界におけるリグニン酸化分解による機能化を模倣し,木材腐朽菌処理後,金属酸化物による化学的処理で長波長UV吸収リグニンオリゴマーの生成効率化に成功し,動物培養細胞を用いた試験で生理活性を確認している。本研究では更なる機能化とリグニン構造と生理活性の相関解明に向け,二つのアプローチに取組んでいる。①米糠をキノコ培地に添加し,フェノール酸化酵素によりリグニンにフェルラ酸を結合させ高い生理活性を有するリグニン酸化分解物を生産。②化学的酸化分解時にアルカリ酸化分解物の再縮合の制御や多価フェノールの選択的グラフティングにより抗酸化活性やタンパク質吸着性の向上を図る。これらによりリグニンの高付加価値化を達成することを目的としている。 研究実施計画一つ目は,「キノコ培地組成の適性化による生物的リグニンの酸化分解」であった。昨年度白樺-米糠培地廃菌床の酸化銅分解物の共役系オリゴマーの収量低下が見られ、タケ-米糠培地で再検討した結果、改善した。フェルラ酸添加培地および高デンプン量-低フェルラ酸量の酒米米糠を用いフェルラ酸削減培地での検討を行ったところ、フェルラ酸量増加、削減系とも共役系リグニン分解物オリゴマーの収率向上は見られなかった。白米ぬかのほうが、キノコの成長も含めリグニン分解に適していることが示唆された。また、キノコ廃菌床の酸化銅分解時にアセトンを添加したところ、共役系リグニン分解物オリゴマーの収率は大幅に増加し、アルドール縮合が促進されることが確認された。研究実施計画二つ目は,「生理活性発現に適した分子設計リグニンの化学的酸化分解」であった。多価フェノール化リグニンのアルカリ分解物のチロシナーゼ阻害活性を調べた結果、フェノール化リグニン分解物は、分子量2000以上あるにもかかわらず、フラボノイドの中でもチロシナーゼ阻害が高いケルセチン以上の阻害活性が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
①「キノコ培地組成の適性化による生物的リグニンの酸化分解」 昨年度キノコ廃菌床酸化銅分解を行った結果、長波長UV吸収リグニン分解物生成量が減少するというこれまでと逆の結果となり、竹粉培地を用いて再実験した結果、培養後の長波長UV吸収リグニンオリゴマーの収率は増加した。それに合わせ、フェルラ酸添加とフェルラ酸減少を目的とした八海山酒造様より入手した酒米糠添加培地でキノコ培養した結果、酒米糠で菌糸成長は促進した。酸化銅分解を行ったところ、フェルラ酸添加系、減少系とも長波長UV吸収リグニンオリゴマーは少し減少し、通常の白米ぬか添加培地廃菌床の酸化銅分解が最も長波長UV吸収リグニンオリゴマーが多くなった。また、今回、酒米糠を用いて新潟県森林研究所ではナメコ、一正蒲鉾様ではマイタケの栽培を行っていただいた。ともに酒米糠を用いた場合、菌糸成長は促進したが、キノコ生産量は低下する結果となった。 ②「生理活性発現に適した分子設計リグニンの化学的酸化分解」 レゾルシノール導入リグニンアルカリ分解物は、クレゾールやカテコールタイプとは異なり、320nmにλmaxを持ち、高い抗酸化活性を示したことから、構造解析を行った結果、γ位が脱離したベンゾフラン型構造をしていることが示唆された。 ③「リグニン分解物の生理活性試験」 レゾルシノール導入リグニンアルカリ分解物は、美白化粧品に現在使用されているコウジ酸よりはチロシナーゼ阻害活性は低いが、フラバノイドの中では高いケルセチンよりも高いチロシナーゼ阻害活性を示した。カテコールタイプは、活性を示さず、導入したフェノール性水酸基の配置パターンがレゾルシノールタイプはケルセチンと同じであり、導入フェノール種をそれぞれの生活性に適したものにすることで、様々な生活性を発現できる可能性が示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
一昨年度終了予定であったが、新型コロナ感染症の影響により日本酒製造時の精米度の異なる米糠の入手が2年目の12月にようやく入手することができた。今年度研究協力者である新潟県森林研究所とキノコ会社に依頼し,キノコ生産における効果の確認ができた。この廃菌床の解析はまだ実施できなかったので、今後、リグニン量、酸化銅分解物の解析を行う。
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