研究課題/領域番号 |
20K06186
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40030:水圏生産科学関連
|
研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
久米 元 鹿児島大学, 農水産獣医学域水産学系, 准教授 (00554263)
|
研究分担者 |
一宮 睦雄 熊本県立大学, 環境共生学部, 教授 (30601918)
小針 統 鹿児島大学, 農水産獣医学域水産学系, 教授 (60336328)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 北部薩南海域 / 湧昇 / 黒潮 / 多獲性浮魚類 / マアジ / マサバ / カタクチイワシ / 食性 / 成長 / 魚種交代 / 回遊性魚類 / 初期生活史 / 低次生産構造 |
研究開始時の研究の概要 |
2015年以降実施してきた魚類の卵・稚仔調査から、日本の沿岸域で漁獲される多くの回遊性魚類が、鹿児島湾の湾口部を中心とした北部薩南海域を重要な産卵場、成育場として利用していることが明らかとなった。これは、回遊性魚類の主要な産卵場が遠く離れた黒潮上流域である東シナ海に存在し、仔稚魚が黒潮、対馬海流を利用して日本沿岸域へと加入し、漁業資源を支えているというこれまでの定説を覆すものである。本研究では、マアジ、マサバ、クロマグロの初期生活史特性を海域間で比較することにより、北部薩南海域の低次生産力の高さを証明する。その上で、高い生産力を支えているこの海域に特有の低次生産構造について明らかにする。
|
研究成果の概要 |
北部薩南海域ではカタクチイワシの仔魚が最も優占して出現していた。一方、2016年まではマアジが多く出現していたが、2018年以降、マサバが急増した。これまで本海域はゴマサバの主産卵場であることが知られていたが、今回の成果は本海域において魚種交替、近年みとめられているマサバの資源量増加の兆候をとらえたものと考えられた。鹿児島湾の湾口部ではおよそ2週間おきに大隅半島に沿って北へと黒潮分岐流の流入が起きていた。この流入に伴い湾口部で大規模な湧昇が生じており、いずれの種の仔魚も湾口部で出現数は多かった。食性は種間で明瞭に異なっており、マサバはカイアシ類に加え、高い割合で尾虫類を摂餌していた。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
資源高水準期になると、北部薩南海域にはマイワシの最大規模の産卵場が形成されることが知られている。マサバでも同様の傾向がみられることが分かった。本海域はカタクチイワシ、マアジ、ゴマサバ、資源高水準期のマサバ、マイワシといった多獲性浮魚類の重要な産卵場として利用されていることが明らかとなった。 太平洋沿岸域において黒潮の上流に位置し、かつ、従来考えられてきた東シナ海の主要な産卵場に比べて近接する北部薩南海域は、我が国の太平洋沿岸域の水産資源を支える鍵となる海域である。今回得られた成果は、今後我が国の太平洋沿岸の多獲性浮魚類の資源管理施策を講じていく上で重要な知見であり、学術的かつ社会的意義は大きい。
|