研究課題/領域番号 |
20K06196
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40030:水圏生産科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人水産研究・教育機構 |
研究代表者 |
川俣 茂 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産技術研究所(神栖), 研究員 (50372066)
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研究分担者 |
益田 玲爾 京都大学, フィールド科学教育研究センター, 教授 (60324662)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 海洋保護区 / 磯焼け / 藻場 / 捕食者 / 保護区 / 栄養カスケード / 植食動物 / イセエビ / 植食魚 |
研究開始時の研究の概要 |
捕食者は、海藻を食べるウニや植食魚などの植食動物を制御することで、藻場を維持する重要な役割を果たしていることが推察されているが、植食魚の捕食者についてはその実態はほとんど明らかになっていない。申請者は、最近、ウニの優占する磯焼け海域に設けられたイセエビの保護区内で、イセエビの捕食によりウニの空白地帯が形成され、藻場が大規模に維持されていることを見出した。本研究では、大型のイセエビが植食魚も捕食し、その捕食により藻場の維持に寄与するという新しい仮説を、水槽実験と野外での海藻移植実験により検証する。
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研究成果の概要 |
イセエビがウニだけでなく、アイゴ、ブダイ等の植食魚も捕食し得るという新しい仮説を検証するため、水槽での捕食実験を行うとともに、ウニの優占する磯焼け域においてイセエビがウニを捕食し、藻場を維持しているイセエビ保護区において、絶滅して久しい大型褐藻カジメの移植実験を行った。その結果、夜行性のイセエビは夜間岩陰等で眠るアイゴを捕食できることを確認するとともに、イセエビ保護区では移植カジメを食害するのは2,3尾の超大型ブダイに限られることを明らかにし、植食魚は存在してもイセエビが捕食できない、他所から移動してきた大型個体に限られるという仮説を支持する結果を得た。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
捕食者の乱獲が植食動物であるウニの大量発生を招き、藻場の消失(磯焼け)を引き起こすという栄養カスケード仮説が、海外では多くの全面禁漁区における、捕食者の増加→ウニの減少→藻場の回復という事実により検証されているが、ウニ以外の植食動物についてはほとんど知られていない。小規模な海洋保護区しかない我が国では、ウニの磯焼けに対して有効な保護区はイセエビの保護区以外には見出されていない。また、ウニに加えてアイゴ、ブダイ等の植食魚による海藻食害も問題となっているが、その有効な対策がないことから、イセエビがウニだけでなく、植食魚の捕食者にもなり得るという発見はイセエビの保護区の推進に寄与する。
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