研究課題
基盤研究(C)
トラフグ稚魚がフグ毒であるテトロドトキシン(TTX)を嗅覚により受容することが報告され、また七尾湾のトラフグ産卵場においてTTX産生細菌が検出された。本研究では、七尾湾におけるトラフグの嗅覚による産卵場の選択メカニズムを解明する目的で、1)トラフグ親魚のニオイ成分(TTX・アミノ酸)に対する誘引行動および嗅覚応答、2)トラフグ稚魚・親魚のニオイ情報の記銘・想起能およびホルモン制御機構、3)トラフグ産卵場におけるニオイ成分の出現動態および産生機構を解析する。さらに、トラフグ産卵場のニオイ成分の産生環境の整備方策を検討してトラフグ資源の持続的増産を目指す。
七尾湾のトラフグ親魚が、嗅覚によりテトロドトキシン(TTX)に誘引され産卵場を選択しているかを解析した。トラフグ親魚は、Y字水路においてTTXに対して誘引されず、TTXに対する嗅覚応答は小さな応答のみであり、TTX暴露群と対照群の脳内の記憶因子(NMDA受容体)と生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH1)遺伝子、および嗅上皮のニオイ受容体遺伝子の遺伝子発現に差異はなく、七尾湾のトラフグ産卵場においてTTXは検出されず、またTTX産生細菌の近縁種がTTXを産生しているかは不明であった。以上の結果、トラフグ親魚はTTXを指標として産卵場を選択していないことが明らかになった。
トラフグ稚魚が嗅覚を用いてTTXに誘引されることが報告され、また七尾湾のトラフグ産卵場においてTTX産生細菌が検出されたことから、トラフグ親魚が嗅覚によりTTXに誘引され産卵場を選択しているかを解析した。トラフグ親魚は、TTXに誘引されず、また七尾湾のトラフグ産卵場においてTTXは検出されなかったことから、トラフグ親魚はTTXを指標として産卵場を選択していないと結論づけられた。本研究において、七尾湾の底質や海水中の微生物群集構造が解析され、トラフグ親魚の脳内の記憶因子とホルモン因子および嗅上皮のニオイ受容体遺伝子が解析され、今後の研究に役立つことが期待される。
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