研究課題/領域番号 |
20K06226
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40040:水圏生命科学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
赤木 右 九州大学, 理学研究院, 教授 (80184076)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 珪藻 / 光透過性細胞外ポリマー粒子 / ケイ酸塩鉱物 / 溶解 / 培養 / 透明細胞外ポリマー粒子 / 鉱物溶解 / 培養実験 / 溶解吸収 / ケイ酸塩鉱物の溶解 / 電子顕微鏡観察 / アルミニウム / ケイ酸殻の安定性 / ケイ酸殻 / 溶解・吸収 / TEP |
研究開始時の研究の概要 |
珪藻は現在最も成功している生物相の一つである。私は、先行研究で、珪藻の知られていない作用『微小なケイ酸塩鉱物粒子を溶解して、その中の元素を吸収する』を示す幾つかの証拠を得た。本研究課題では珪藻の培養および珪藻が分泌する光透過性細胞外ポリマー粒子(Transparent ExopolymericParticles, TEP)の役割解明により、その作用が存在することを証明し、そのメカニズムを明らかにし、生存戦略の一環として行われていること(すなわち、その作用は生理作用であること)を示し、さらにその作用が珪藻にどのような利益をもたらすかを明らかにする。
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研究成果の概要 |
本研究は、珪藻が分泌する光透過性細胞外ポリマー粒子(TEP)に注目し、珪藻がケイ酸塩鉱物のケイ酸を吸収している可能性を探った。その結果、珪藻の培養時、共存ケイ酸塩鉱物の表面に特有の溶解痕が観察されること 、珪藻の培養時にケイ酸塩鉱物粒子の存在により珪藻からのTEPの分泌が誘起されること、ケイ酸塩鉱物粒子とTEPの高い親和性があり、速やかにケイ酸塩鉱物は透明細胞外ポリマー粒子に捕捉されること、珪藻コロニーは強く酸性化されること、を明らかにした。この結果は、鉱物からケイ酸イオンを得るために、TEPを分泌し、ケイ酸塩鉱物を捕捉・溶解する一連の生理過程の存在を強く示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
成果は海洋の物質循環に大きな影響を与える。海洋への物質の供給は、主に河川を経由すると考えられてきたが、珪藻を経由した新たなルートの存在が明らかになった。また、珪藻は生態系を支える重要な植物プランクトンであり、栄養元素の循環の議論にも影響する。さらに、堆積物中のオパールが珪藻の指標物質であったが、オパール以外のケイ酸塩成分にも珪藻に由来するものがある可能性がある。海洋学、水産学、古海洋学などの学問に貢献する。さらに、陸源物質が溶解することによるアルカリ度の供給は二酸化炭素を保持する重要な過程であるが、その過程に珪藻が関与している可能性が高く、社会的な課題である炭素循環の議論にも影響を与える。
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