研究課題/領域番号 |
20K06257
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41010:食料農業経済関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
園田 正 名古屋大学, 経済学研究科, 教授 (60329844)
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研究分担者 |
VU THIBICHLIEN 名古屋経済大学, 経済学部, 准教授 (60747880)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | バングラデシュ / ベトナム / 逆相関 / 生産性 / 生産関数 / 市場発展 / 農家モデル / 分離性 / 季節パネルデータ / 確率的生産フロンティア / 農地規模 / ミクロデータ |
研究開始時の研究の概要 |
作付規模が大きいほど農業生産性が低いという「逆相関」は,発展途上経済の農業生産について観察されてきた古典的な関係であるが,近年盛んに再検討されている。本研究は,経済発展に伴う生産要素の市場発展に注目し,バングラデシュとベトナムの農家に関するミクロデータに基づき,両国における農業生産性と作付規模の関係を適切な方法で検証することによってその原因を考察し,「逆相関」が観察されるか,いつこの関係が転換するか,どの市場の変化が重要かを問う。
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研究実績の概要 |
本研究は,発展途上経済の農業生産について観察されてきた古典的な関係である「逆相関」(作付規模が大きいほど農業生産性が低いという関係)を分析対象とし,経済発展に伴う生産要素(土地,労働,信用など)の市場発展に注目して,最新のデータと計量手法に基づき,バングラデシュとベトナムにおいて「逆相関」が観察されるか,いつこの関係が転換するか,どの市場の変化が重要かを検証することを目的としている。本年度は,2015年におけるバングラデシュ統合家計調査(BIHS)の雨季と乾季のパネルデータに基づき,米の単収を従属変数,作付面積と単位面積当り生産要素投入量(労働,農業資本,他の投入物)を説明変数とするコブ=ダグラス型生産関数をモデルとして,経常財(肥料,種苗,燃料などを含む)の需要関数に基づくプロキシー法(レビンソン=ペトリン法(LP法),Ackerbergらの方法(ACF法))を適用し,安定的な推定結果を得るための作業と調査を実施した。LP法とACF法はパラメータに関して非線形性を伴う一般化積率法を用いるが,他の研究でも指摘されることがあるように,様々な初期値に対して安定した結果を得るには至らず,不安定な推定結果やシミュレーション結果を調査するのに時間を費やした。また,過年度にBIHS2015の季節パネルデータに基づいて実施した確率的生産フロンティア分析の論文を成果報告するため,分析の精緻化を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本年度は,米の単収を従属変数,作付面積と単位面積当り生産要素投入量(労働,農業資本,他の投入物)を説明変数とするコブ=ダグラス型生産関数を適切な手法で推定し,作付規模で分けた二つのグループについて単収,作付面積,単位面積当り投入量の平均を計算し,大規模グループと小規模グループの平均単収の差を,作付面積(規模に関する収穫の効果),労働投入,農業資本,他の可変投入物の差に分解して,各要素の大きさに基づいて不完全市場の影響を考察する予定であった。上記の生産関数の推定はパラメータに関して非線形性を伴う一般化積率法を用いるが,様々な初期値に対して安定した結果を得るには至らず,安定しない推定結果やシミュレーション分析を調査するのに時間を費やした。また,この問題点を含め,海外研究者との議論を通じて研究を推進させる予定であったが,新型コロナウイルス感染症流行の影響もあり,調整がうまくつかず,予定通りの進展が見られなかった。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は海外研究者との共同研究の進展が見込めるため,当初の計画通り研究を進めるように努める。具体的には,市場発展と監視費用に注目したバングラデシュとベトナムについての逆相関関係の比較,作付規模に関する大・小グループの平均単収差の要因分解分析による不完全市場の影響の考察について,一定の結論が得られるように努力する。
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