研究課題/領域番号 |
20K06270
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41010:食料農業経済関連
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研究機関 | 摂南大学 |
研究代表者 |
吉井 邦恒 摂南大学, 農学部, 教授 (00356297)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 農業保険 / 農業経営安定対策 / 生産費 / マージン保険 / 農業所得 / 農業災害対策 / インデックス保険 / 経営単位収入保険 / 収入保険 / 農業収入・所得変動 / 新型コロナウィルス感染症 / 生産コスト / リスク管理 |
研究開始時の研究の概要 |
フード・バリューチェーン(生産―加工・製造―物流―販売)の国内外への急速な展開に伴い、各種規制の変更や認証の取得、農薬残留基準の強化、生産資材価格の高騰等によって、農業者は生産コストが上昇するリスクに直面するようになっている。 本研究では、生産コストの変動状況、農業者のリスク意識および諸外国における農業リスク管理政策の分析を行うことによって、わが国の既存の対策では十分に対応できない、生産コストの上昇を考慮した農業所得の低下リスクを緩和するための政策手段を検討し提示する。
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研究実績の概要 |
アメリカにおける農業保険の実施状況、財政負担、制度改正の検討状況等について、①農業保険加入面積は牧草地を対象とするインデックス保険の加入増加により年々拡大しており、2022年にはインデックス保険が占める割合が5割を超える見込みであること、②農作物価格の高騰に伴う保証価格の上昇によって農業保険の保険金額は2021年には過去最高となる一方で、インデックス保険の保険金額が全体に占める割合はハリケーン特約分を含めても4%程度であること、③農業保険に対する財政負担は、保険料補助の増大によって2021年には過去最大となったこと、④肥料代等の生産費を考慮したマージン(収入-生産費)を保証する保険であるMargin Protectionの加入が2022年に急拡大していること、⑤現在議会で検討されている2023年農業法案において、厳しい財政事情の中で、農業保険の保険料補助の受給資格や支払限度の設定による支出削減が論点となっていること等を明らかにした。 カナダの農業経営安定対策について、①農業保険、積立プログラム及び農業所得安定プログラム(AgriStability)の3つのプログラムを組み合わせて利用できるように仕組まれていること、②特に、農業所得税申告書を用いて経営単位でマージンを保証するAgriStabilityについて、現在の加入率は34%と低いものの、カナダ政府は最重要政策の一つとして、2023年度から実施される「持続可能なカナダ農業パートナーシップ」において制度改正により加入促進を図っていること等を明らかにした。 フランスにおいては、気象リスク等による農業被害の多発化・甚大化が懸念されるようになっており、2022年に農業保険改革が実施され、新たに農業保険と災害補償制度を組み合わせた重層的な構造による農業経営安定のための仕組みが構築されたこと等を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルスの感染拡大防止への配慮が求められたため、国内における農業者や農業共済団体へのインタビュー調査をほとんど実施することができず、農業保険制度への意向や生産費上昇への対応に関する実態の把握が十分に行えなかった。しかしながら、アメリカ、カナダ及びフランスの農業保険や農業経営安定対策については、現地調査は実施できなかったものの、インターネットによる情報把握やメールによる質疑応答によってある程度研究を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度には、欧米の農業保険等の農業経営安定対策、特に生産費を考慮した農業所得の変動緩和対策に関する情報を入手し分析を行うとともに、農林水産省、全国農業共済協会、全国農業共済組合連合会等の協力を得て、各地域の農業者や農業共済団体を対象に、農業収入や生産費の変動状況をはじめとして農業リスクや農業保険に関する実態の調査と分析を進め、学会報告等を行いながら研究成果を取りまとめる。
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