研究課題/領域番号 |
20K06272
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41020:農業社会構造関連
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
清水池 義治 北海道大学, 農学研究院, 准教授 (30545215)
|
研究分担者 |
橋本 直史 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(生物資源産業学域), 講師 (50649473)
天野 通子 愛媛大学, 農学研究科, 准教授 (40643250)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
|
キーワード | 農産物・食品認証制度 / 農産物規格 / アニマルウェルフェア / 新自由主義 / GAP / 小売業 / サプライチェーン / 民間認証 / 欧州 / 地理的表示 / 西尾の抹茶 / 登録取り下げ / 地域団体商標 / 十勝ラクレット / 認証制度 / 標準化 / 有機農業 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、農産物・食品認証制度の基準が、製品それ自体や、投入財・生産管理手法など生産工程の物的な側面が中心となっている点を検討した後、「標準化」による両義的影響(肯定的・否定的)に関する分析を行う。その際、認証制度の性格(オルタナティブ認証か工業化認証か)、サプライチェーンを主導する主体(生産者か大手資本か)、市場構造(輸入地域か輸出地域か)の3つの規定要因を想定し、これらにより事例を類型化した上で分析する。
|
研究実績の概要 |
2022年度の研究実績は、主要には、アニマルウェルフェア認証の新自由主義的展開に関する問題、農水産物を対象としたGAP認証の普及の性格と課題、新自由主義下の「オルタナティブ」としての認証制度の性格に関する考察を含むものがある。 企業の経済的インセンティブをベースとしたアニマルウェルフェア(AW)認証制度が近年、欧米諸国を中心に発達している。AWは倫理的観点からは社会全体に普及すべき性格を持つが、同認証に対応できない畜産生産者や認証製品を購入できない消費者を排除する問題があるほか、認証制度の内容自体がマーケティング上のわかりやすさが重視されるものとなり、AW普及上、本質的に重要な家畜にとっての便益問題が軽視される事態となっていることを検証した。 近年、農水産物の産地段階でGAP認証取得の動きが加速しているが、産地側にもっぱら認証費用の負担が集中している、認証取得後も取引価格に変化がないといった問題がある。GAP認証は食品安全など社会的要請に対応するひとつの解決策であるが、実態としては認証取得を求める小売業にとっての取引上の単なる前提条件、ならびに欧州向け輸出の“ライセンス”との位置づけであり、産地側からすれば小売業サイドによる垂直統合の一手段ではないかとの評価も可能である。 既存の工業的フードシステムの「オルタナティブ」として評価される農産物・食品認証制度は、個人消費の延長線で社会変革が可能とする観点では新自由主義と親和性を有するほか、その認証制度自体が商品化されることで単なるビジネスツールとなり、本来的に有していたオルタナティブ=社会変革的要素が失われる懸念があることを指摘した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記の評価を行った理由は以下の2点である。 第1に、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による出入国制限・移動制限措置の継続によって、海外調査は2022年度も実施を見合わせざるを得なかったが、国内調査に関しては、感染状況の改善やそれに伴う各種措置の緩和によってある程度は進めることができた。 第2に、2022年度は、本研究課題に関する論文・学術書籍の発表、学会報告を行うことができ、研究を進捗させることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
2022年度中に研究期間を1年間延長する手続きを行った。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による出入国制限・移動制限措置が撤廃されたため、2023年度はこの間、見合わせてきた海外調査を実施する。2023年11月、あるいは24年3月を念頭に、イタリアの青果物農協、フランスの乳業メーカー垂直統合型組織、生産者組織による農産物・食品認証制度の活用事例に対する調査を行う予定である。加えて、国内事例の調査実施を継続して進めるとともに、学会誌等への論文投稿を進め、研究実績の蓄積を進めていく。
|