研究課題/領域番号 |
20K06293
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41030:地域環境工学および農村計画学関連
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
坂田 寧代 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (60373172)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 包摂(Inclusion) / 安寧(Well-being) / 山古志木籠ふるさと会 / 山古志闘牛会 / 次世代への継承 / 障害受容 / 山古志 / 新潟県中越地震 / デジタルのむらづくり / リアルのむらづくり / デジタルアート / 他出子 / 牛の角突き / コロナ禍 / 農村伝承文化 / アイデンティティ / 誇り / 使命感 / 闘牛 / 集落営農 / 農地災害関連区画整備事業 / 中山間地域等直接支払制度 / 関係人口 / 豪雪中山間地 / well-being / コミュニティ再編 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,これまで取り組んできた2004年新潟県中越地震で被災した長岡市山古志地区を含む豪雪中山間地を対象として,住民がwell-beingを感じられる農村社会を創出することを目的として,地域コミュニティの再編の比較研究を行うものである。 次の成果を目指す。①先進事例のコミュニティ再編の長期的変容を明らかにする,②人口減少と高齢化のフロンティアである豪雪中山間地のコミュニティ再編を比較検討する,③コミュニティ再編を集落営農主導型と地域交流団体主導型に分けてそれぞれの特性を明らかにする。
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研究実績の概要 |
2023年度は,2021,2022年度に山古志の空き家に住み込み調査を行った内容などを書籍として出版するための執筆・編集作業に注力した。また,酒造りに関する団体の調査を実施し,2024年9月に発表予定の学会要旨を提出した。 書籍には,2年間の住込み調査の体験,それにもとづく山古志の持続的発展のための提案を骨子とし,交流人口・関係人口の山古志への呼込みに貢献している山古志木籠ふるさと会と山古志闘牛会を対象として,10年近くになる通い調査結果も含めて記載した。具体的には,住込み調査を行うことで初めて見えてきた居住するうえでの課題,当事者として参画した団体持続の秘訣,次世代への継承など,通い調査のみでは見出し得なかった内容を記述した。とくに,大怪我を負うなかで山古志住民の温かい声かけや自然環境のもつ癒やしに触れて障害を受容できた経験から,豪雪中山間地という過酷な条件下で生きてきた人びとのもつ強さと優しさ,すなわち,農村のもつ「包摂(Inclusion)」と「安寧(Well-being)」を提起した。さらに,農村住民が都市の論理のもと行政サービスや社会的インフラが集約化されていく状況下,この先も同じ場所で暮らしていくうえで必要と考えられる提案を行った。一つは,新潟県中越地震後に整備された交流施設(直売所兼震災資料館,闘牛場)は交流人口・関係人口に貢献しているため,その更新や再整備が必要ということである。あと一つは,小中学校の学区外就学特例校化と寮の整備の可能性の検討が必要ということである。 能登半島地震の復旧・復興において「復興より移住」という都市の論理が台頭してきているため,書籍や講演を通じて山古志の経験を広め,山古志同様,地理的・地形的条件が厳しく人口減少が著しい能登半島の復旧・復興に貢献したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本課題名中の「豪雪中山間地のwell-being」について提起することができ,「コミュニティ再編手法」についても交流人口・関係人口を呼び込む団体の特性を明らかにしつつあるため。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は,山古志木籠ふるさと会,山古志闘牛会の調査を引き続き進める。そのほか,2023年度に調査は行ったものの,2022年度に療養して遅れていた酒造りに関する団体の調査を継続する。交流人口・関係人口の呼込みに貢献している団体の構造化・定式化を行い,「コミュニティ再編手法の確立」を目指す。また,その普及を目指し,地方公共団体関連の講演や学会発表に積極的に取り組む。 2024年は2004年に発生した新潟県中越地震から20年の節目の年であり,5月には全国闘牛サミットが山古志闘牛場で開催予定であり,10月には山古志木籠ふるさと会や山古志全体での追悼の集いが予定されている。そうした機会を捉えて情報発信していくことも予定している。
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