研究課題/領域番号 |
20K06313
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41040:農業環境工学および農業情報工学関連
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
前田 武己 岩手大学, 農学部, 准教授 (40333760)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 堆肥化 / バイオ炭 / 家畜排せつ物 / 悪臭 / 低級脂肪酸 / 電気炉 / 炭化物 / 均一性 / 悪臭低減 / 家畜排泄物 / バイオマス |
研究開始時の研究の概要 |
家畜排せつ物堆肥化時の悪臭抑制は重要な課題である。バイオ炭には物質吸着による脱臭機能が期待されるが,その材料や炭化の方法が多々であることもあり,脱臭・防臭の機能については検討されていない。本研究ではこのバイオ炭を堆肥材料に混合することによる悪臭抑制について検討する。排せつ物を材料としたバイオ炭を悪臭低減のために堆肥化に利用するために,バイオ炭の材料・製法による悪臭物質吸着能などの違いを調査することにより,その基礎的知見を得ることを目的とした検討を行う。
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研究実績の概要 |
乳牛糞を保管するときの悪臭物質の変化について,その温度に着眼したインキベーション試験を行った。その結果,2つの酪農場より採取した糞に含まれる低級脂肪酸総量(T-VFA)は20 ℃以上では顕著に増加した。堆肥化時の進行を鈍化させることにつながる糞のpHが7以下になるのは,A農場では10 ℃は7日後,20 ℃は3日後,30 ℃は1日後であり,B農場では10 ℃は5日後,20,30 ℃は1日後であった。 堆肥化早期の通気堆肥化時の悪臭低減を目的として,バイオ炭を添加した乳牛糞の堆肥化による悪臭成分の変化について,有効容積4 Lの反応槽を備えた小容積堆肥化実験装置を用いて,7日間の堆肥化実験による検討を行った。堆肥化実験は,3種類のバイオ炭を固ふん形物の3.5%になるようにそれぞれ添加した処理区と対照区である無添加区について行い,堆肥化の経緯と有機物分解,総低級脂肪酸(T-VFA)の変化などについて検討を行った。 堆肥化時の材料温度および酸素消費速度の変化には,バイオ炭の添加の有無およびバイオ炭の種類よる違いは生じなかった。また,有機物分解率についてもバイオ炭の添加の有無およびバイオ炭の種類よる違いはわずかであり,T-VFAも堆肥化開始から2日後には全ての条件で定量限界となった。本実験では十分な通気量によって材料内部の好気条件が維持されており,このために有機物やVFA分解において,バイオ炭添加の効果が発現しなかったと考えらえる。低い混合率におけるバイオ炭添加の堆肥化プロセスに対する効果は期待したほど大きくない可能性もあり,そうした結果となる可能性を含めた検討が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初計画では,初年度から第2年度にかけてバイオ炭の悪臭物質吸着能の評価に関する研究を行うこととしていた。しかしながら,第2年度に手法の一部見直しを行ったこと,寺実験の一部を再度行うこととなり,研究計画から遅れが生じた。また,その実験期間中に過去の科研費により設置していた窒素分析装置が故障して,代替器の購入までの間は実験を延期せざるを得なくなり,当初計画からの遅れの要因となった。 更には,前年度以前より生じていた所属する教育ユニットの教員の欠員がさらに増加し,受け入れ学生の増加と学内における教育関連とそれ以外の業務の増大が,本研究に対するエフォートを圧迫した。これらの状況は現在も解消していない。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究により,原料ふん尿に含まれる悪臭成分としての低級脂肪酸(VFA)の増加と温度との関係はデータが取得済みである。また,堆肥化実験についても1回は実施したが,今回設定した添加条件ではバイオ炭添加の効果・影響を評価することができなかった。堆肥化実験や試料の成分分析に必要な機材の整備や手順の確認はおおむね終えているため,実験条件の検討を早急に行い,新たな実験に早急に着手する。所属する教育ユニットの教員欠員やと学内における業務の増大については解消されていないが,延長申請を行った本研究を他の業務よりも優先して行うことにより,研究の進捗を計る所存である。
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