研究課題/領域番号 |
20K06326
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41040:農業環境工学および農業情報工学関連
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研究機関 | 東京薬科大学 |
研究代表者 |
藤原 祥子 東京薬科大学, 生命科学部, 教授 (30266895)
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研究分担者 |
岡田 克彦 東京薬科大学, 生命科学部, 助教 (40301551)
佐藤 典裕 東京薬科大学, 生命科学部, 准教授 (50266897)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 微細藻類 / CO2固定 / 培養装置 / バイオマス / 環境水浄化 / 水質浄化 / リンの除去回収 |
研究開始時の研究の概要 |
CO2問題の解決のため、光合成によるCO2固定の利用、特に生育が速く食糧生産と競合しない微細藻類によるバイオマス燃料の生産が注目されている。しかし、まだ収量とコスト面で大きな壁がある。本研究では、この壁を克服するために、当研究室で開発したユニークな固相表面連続培養系を最適化することにより、施設面積当たりの生産率が高く、日本等の温帯以北で通年培養できる培養ユニットの開発を行う。合わせて、環境水の浄化をしつつ培養を行う系を構築する。
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研究実績の概要 |
CO2問題の解決のため、光合成によるCO2固定の利用、特に生育が速く食糧生産と競合しない微細藻類によるバイオマス燃料の生産が注目されている。本研究では、固相表面連続培養系を用いた微細藻類バイオマス生産ユニットを確立することを目的としている。3年度目である今年度は、固相上でも液体中と同様の活発な生育が見られることに着目し、その基盤となる遺伝子発現調節メカニズムを明らかにするために、液体培養から固相に移した後の細胞のトランスクリプトームの変化を調べた。固相に移す前の液体培養および固相に移動後12時間、24時間の細胞のRNA-seqを基にGO解析、KEGGパスウェイ解析を行ったところ、CO2同化からアミノ酸合成への主要な代謝経路と翻訳装置およびHSP70Bなどのprotein foldingに関わるストレスレスポンスタンパク質が、移動後12時間で一過的にアップレギュレートされていることが示された。また、チラコイドでの光合成反応過程については、フェレドキシン、PGR5、ATP 合成酵素がアップレギュレーションされていたことから、PSI循環型電子伝達が光阻害を緩和し還元力の生成を抑制しているが、A T P合成は高く保たれている可能性が示された。これまでに得られているクロロフィル含量およびPSIIの実効量子収量は一過的に低下するがその後24時間以内に回復することと合わせて考えると、固相状に移された細胞は移動後すぐにストレスを受けるが、光合成装置と代謝の流れの適応により24時間以内に高い光合成活性を回復できることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
細胞は固相上に移した直後はストレスを受けるが24時間以内には適応することが明らかとなっており、その適応機構を明らかにするためにRNA-seqのde novoアセンブリによる解析を行ってきたが、今年度はde novoアセンブリではなくゲノム配列をテンプレートとした解析を行うことができ、正確性を格段に向上させ遺伝子の網羅的発現解析を完成させることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の成果を基に、さらにCO2固定条件、バイオマス成分と屋外(太陽光利用)での評価を進める。 ① CO2固定条件の最適化:CO2の透過性を改善するため、立体構造を付与できる固相素材を探索、もしくは表面加工により立体構造を構築する。固相上の細胞量、流出細胞量及び強制離脱方法と細胞量の関係を調べて、totalの細胞回収量を向上させる細胞強制離脱方法を検討する。また、装置稼働の自動化を目指す。 固相で強発現する遺伝子について、その過剰発現により固相培養可能となる株が作製できないか検討する。また、今年度予測された代謝の流れの変化を③の物質生産へ応用できないか検討する。 ② バイオマス成分の評価:バイオマスについて、収量だけではなく、脂質・デンプン・タンパク質の量・質についても評価を行う。特にタンパク質については、今年度の結果から一過的に増加している可能性があるため検討行う。また、培養条件の修正も行う。たとえば、バイオディーゼル原料であるトリアシルグリセロールは窒素欠乏やリン欠乏条件で蓄積されることが知られているため、窒素・リンの浄化終了時に生産性が高くなっている可能性が高い。生育しながら生産できる条件を検討し、生産性の最適化を図る。 ③ 屋外(太陽光利用)での評価:屋外での太陽光だけで十分なバイオマスが得られるかどうか、実際に室内飽和光の場合と比較検討する。気温や天候、日射量、日射時間を考慮して検討を行う。
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