研究課題/領域番号 |
20K06370
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42010:動物生産科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
阪谷 美樹 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産研究部門, グループ長補佐 (00355687)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 牛 / 体外受精卵 / 凍結保存 / III型不凍タンパク質 / 胚 / 不凍タンパク質 / 牛胚 / 胚凍結 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では効率的な後継牛生産を実現するため、生存性が高く移植後の高い受胎率を期待できる牛胚保存法を開発することを目的とする。 凍結時の氷晶形成を抑制し、耐凍性を高める効果が報告されている魚類由来不凍タンパク質(AFP)を用い、汎用性が高い-20~-30℃での緩慢凍結法を応用した低温保存技術を開発する。さらにAFPを用いることで、細胞毒性を有する従来の耐凍剤の使用を減らし、胚の生存性を高める効果を検討する。受胎率の低下により後継牛確保が問題となっている乳用種への胚移植や、夏季の交配への適応可能性を明らかにし、畜産酪農現場における効率的な後継牛生産技術の開発を目指す。
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研究実績の概要 |
本年度はこれまでに牛体外受精胚の緩慢凍結融解後の生存性に効果があると認められたIII型不凍タンパク質(AFP) 1.0microG/mL添加区を用いて胚の遺伝子発現を評価し、さらに移植試験を実施した。 食肉センター由来卵巣から回収した卵子により作成した体外受精胚盤胞を用い、対照区は通常の凍結保存液にて保存し、AFP区はAFP 1.0microG/mLの培養液にて1h前培養後、AFP 1.0microG/mLを含む凍結液にて保存した。液体窒素内で少なくとも1か月以上保管した胚を試験に供試した。培養液・保存液への血清利用は胚の遺伝子発現異常や産子の過大化を引き起こす可能性があるため、本課題では胚発生培養液、凍結保存液は血清フリーとした。 遺伝子発現試験では融解後、38.5℃ 5% CO2 5% O2気相下で 20% FBS, 還元剤 100microM beta-mercaptoethanolを含むM199培養液中にて24h回復培養後の生存胚のみを回収し、qRT-PCRにて各種遺伝子発現(HSPA1A, POU5F1, NANOG, CDX2, IFNT, CASPASE3)を比較した。ストレスマーカーであるHSPA1Aの発現はAFP区で有意に低く、栄養外胚葉マーカーであるCDX2の発現はAFP区で有意に高かったが、他の内部細胞塊マーカーやアポトーシスマーカー遺伝子に差は認められなかった。HSPA1Aの結果からAFP添加区で凍結による障害が軽減される可能性が示唆された。 また、移植試験では発情同期化処理した黒毛和種雌牛に対照区2頭,AFP区1頭に対し、それぞれ1個ずつの胚を移植したところ、対照区1頭のみが受胎した。本結果では、例数が少なくAFPの添加による受胎性効果は評価できていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナウイルス感染症の影響による出張自粛や出勤自粛のため、食肉センターからの実験材料である卵巣の採取や移植試験のための実施が困難な時期が生じ、研究の実施に遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度はAFPを添加した緩慢凍結法による液体窒素保存(通常保存)胚を用いて、実際に牛への受精卵移植を実施して対照区との比較を行い、AFP添加効果について検証を行う。各区15頭分のデータ蓄積を目指し、統計的な解析を可能とする。さらに、複数の遺伝子発現や他の品質評価解析を行うことでAFP添加の効果がどの部分に表れているかを明らかにする。
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