研究課題/領域番号 |
20K06382
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42010:動物生産科学関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
川井 泰 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (00261496)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 抗菌ペプチド / ナイシン / エタノール / 保存性 / 自己耐性 / 微生物制御 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、高濃度(70、80%)エタノール・ナイシン溶液を食中毒原因菌や、食肉、および調理器具表面へスプレー噴霧し、その殺菌効果と有効ナイシン添加濃度を調べると共に、常温下におけるナイシン活性の低下要因解明と本溶液の保存性向上について検討し、一般家庭から食品・畜産業界までに有効かつ実用可能な抗菌剤の開発を試みることとした。また、ナイシン生産・耐性菌に対するエタノール・ナイシン溶液の効果と耐性因子の役割・作用機序、および菌体内への有機酸残留機構について解明することを目的とした。
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研究成果の概要 |
チーズ製造用乳酸菌により生産される抗菌ペプチド(バクテリオシン)のナイシンと低~高濃度(5~80%)エタノールを組み合わせた高い殺菌効果を有する実用化可能な抗菌剤の開発を試みた。その結果、30℃および37℃にて、ナイシン添加濃度2.5mg/L以上、pH4、および遮光有りでナイシン活性が半年間以上で維持されることを見出した。 また、各ナイシン自己耐性因子(NisI、NisK)の発現株の取得に成功し、NisK発現株がNisIに匹敵するナイシン耐性機構を有することを見出すと共に、同耐性遺伝子導入株に対して低濃度(5%)エタノール・ナイシン溶液が高い抗菌効果を示すことを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
有用な抗菌ペプチドであるナイシンは、中性pH域においては溶解性の低下により抗菌効果が大幅に低減することが知られている。本研究では、中性pH域の溶媒としてエタノールに着目し、ナイシンと組み合わせて抗菌活性を測定したところ、大腸菌を含むグラム陰性菌に対して抗菌効果を示すと共に、低濃度のエタノール添加でナイシン単独では殺菌出来ないナイシン生産株・耐性株の殺菌に成功した。また本製剤の長期保存条件を見出し、安価で安全かつ広く利用可能な抗菌剤の提供が可能になった。本エタノール・ナイシン溶液はスプレーや浸漬剤として、食品をはじめ、厨房等の周辺環境の安全で効果的な殺菌剤として利用性が期待される。
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