研究課題/領域番号 |
20K06410
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42020:獣医学関連
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
神志那 弘明 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (50506847)
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研究分担者 |
小畠 結 岐阜大学, 応用生物科学部, 助教 (00805442)
本田 諒 岐阜大学, 大学院連合創薬医療情報研究科, 准教授 (00820143)
原 英彰 岐阜薬科大学, 薬学部, 学長 (20381717)
鎌足 雄司 岐阜大学, 高等研究院, 助教 (70342772)
加藤 善一郎 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 教授 (90303502)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 神経変性疾患 / ミスフォールド / ALS / 低分子化合物 / 分子シャペロン / 抗体治療 |
研究開始時の研究の概要 |
犬の変性性脊髄症(DM)は変異蛋白質のミスフォールドにより神経毒性を獲得すると予想されるが、神経変性のメカニズムは不明である。本研究では、犬のSOD1蛋白質の立体構造をX線結晶回折および超高磁場NMR法により決定する。決定した立体構造を基にin silico計算と細胞アッセイを行い、SOD1の構造を安定化することによりミスフォールドを阻害する低分子化合物を探索する。また変異SOD1蛋白質の異常構造(毒性構造)を特異的に認識する抗体を作出し、抗体の神経毒性抑制効果を評価する。
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研究実績の概要 |
本研究のテーマは犬の変性性脊髄症(DM)の病態解明と治療基盤の構築である。DMは人の筋萎縮性側索硬化症(ALS)と類似する致死性の神経変性疾患であり、 両疾患ともスーパーオキシドジスムターゼ1(SOD1)遺伝子変異によりアミノ酸置換が生じ、SOD1蛋白質の立体構造変化(ミスフォールド)が起きる。本研究では、犬のSOD1蛋白質の異常構造(毒性構造)を明らかにし、その毒性構造を基盤として治療薬を開発することが目的である。 過去に我々が作製した犬の変異SOD1蛋白質に対する特異的モノクローナル抗体(16G9抗体)を 用い、犬の変異SOD1蛋白の異常構造を解析した結果、変異SOD1蛋白は凝集の過程で本来結合している銅と亜鉛が解離し、酵素活性を失うことがわかった。DM発症例の脊髄組織の解析では、変異SOD1蛋 白は神経細胞内およびグリア細胞内に蓄積しており、SOD1蛋白の酵素活性は著しく低下していることから、金属解離型SOD1蛋白が凝集体の構成蛋白であると考えられた。また、ミスフォールド蛋白のリフォールディング効果が 期待される数種の分子シャペロンも解析した。これら低分子化合物と分子シャペロンを組み換えSOD1蛋白と反応させ、蛋白のミスフォールド阻害効果を解析したところ、いくつかの化合物において効果が認められた。中でもオキシインドール化合物であるGIF化合物が、犬の変異SOD1蛋白の凝集を抑制した。さらにGIF化合物は人のALSの原因タンパク質であるSOD1タンパク質や、プリオン病の原因タンパク質であるプリオンタンパク質(PrP)を含む複数の神経変性疾患原因タンパク質においても、凝集抑制効果がみられた。GIF化合物は、原因蛋白の異常型構造と相互作用し、複数のタンパク質の凝集抑制に効果を発揮するという新たなカテゴリーの凝集抑制化合物として、神経変性疾患の治療への応用が期待される。
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