研究課題/領域番号 |
20K06430
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42020:獣医学関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
長田 雅昭 神戸大学, 医学研究科, 医学研究員 (00836893)
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研究分担者 |
佐々木 良平 神戸大学, 医学部附属病院, 教授 (30346267)
椋本 成俊 神戸大学, 医学研究科, 医学研究員 (70634278)
宮脇 大輔 神戸大学, 医学部附属病院, 特命准教授 (30546502)
赤坂 浩亮 神戸大学, 医学研究科, 非常勤講師 (20707161)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | ナノ粒子 / 放射線増感 / IMRT / 放射線増感剤 / 獣医療 / 肉腫 / 放射線応答 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究はナノ粒子を獣医療分野に応用しようとするものであり、犬や猫に対する高精度放射線増感療法の基盤研究になることが期待される。また獣医療領域では、シスプラチンやゲム シタビンを放射線増感剤に用いた放射線治療が報告されているが、必ずしも良い成績が得られている訳ではなく、そのため放射線増感剤を用いた報告はほとんど認められない。獣医学分野でのナノ粒子を用いた放射線増感剤を実症例に投与した報告は、申請者らの知る限りでは報告されていない。申請者らは先行研究の中で過酸化チタンナノ粒子が金ナノ粒子を上回る放射線増感効果を発揮することを動物実験において確認し、世界的に高い評価を得ている。
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研究実績の概要 |
申請者らはこれまでの共同研究の中で、多数の無機物ナノ粒子、有機化合物ライブラリーの中から、ROSの生成量を飛躍的に増加させる物質を網羅的に探索し、二酸化チタンを原材料にした過酸化チタンを独自の手法で、約50-70ナノメートル(nm)にナノ粒子化することに成功した。過酸化チタンナノ粒子では、X線照射により数十倍以上の大量のヒドロキシラジカルを生成することを初めて発見し、細胞内に確実に取り込まれ、X 線照射によって大量のヒドロキシラジカルを発生することを発見した。このROSの産生という特徴は現状の二酸化チタンでは認められないがん治療において有利な効果である。この素材を獣医学における切除が困難な腫瘍に対して応用するには、過酸化チタンナノ粒子が腫瘍に特異的に集積する必要がある。がん幹細胞に高発現しているCD44を認識する抗体と過酸化チタンナノ粒子を結合させることに成功し、CD44陽性細胞とCD44陰性細胞を用いたin vitroの実験系において腫瘍集積性の評価を行った。蛍光顕微鏡によるCD44陽性細胞またはCD44陰性細胞へのナノ粒子の取り込みを評価し、PMAP(Polyphenol-Mediated Assembly of Proteins)と呼ばれる独自のナノ粒子コーティング技術を開発し、CD44陽性細胞内への有意なPMAP-過酸化チタンナノ粒子の取り込み量の増加を認めた。腫瘍増殖抑制効果の検討に関して、PMAP-過酸化チタンナノ粒子と放射線の併用効果をコロニーアッセイにより評価した。CD44陽性細胞においては、PMAP-過酸化チタンナノ粒子と放射線を併用することにより放射線単独または過酸化チタンナノ粒子単独よりも有意な腫瘍増殖抑制効果を認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
PMAP(Polyphenol-Mediated Assembly of Proteins)と呼ばれる独自のナノ粒子コーティング技術を開発しており、PMAPを応用することで、過酸化チタンナノ粒子にDrug Delivery System(DDS)をもたらすことが可能であると期待できる。本研究での成果は獣医学における難治の腫瘍の治療成績向上に向けて重要な役割を果たすと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度には、コロナウイルス感染症の影響もあり、十分な動物実験が実施できなかった。 そのため、今後には、本治療法のインビボでの有用性を明らかにしていきたい。
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