研究課題/領域番号 |
20K06439
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42020:獣医学関連
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研究機関 | 日本獣医生命科学大学 |
研究代表者 |
小林 正典 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 准教授 (80600428)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 犬 / 前立腺癌 / microRNA / micro RNA |
研究開始時の研究の概要 |
犬前立腺癌の多くが悪性腫瘍であり、早期に遠隔転移や局所浸潤が認められるが、有効性が高い治療法は存在しない。Micro RNA(miRNA)は、標的遺伝子の発現調節によって腫瘍の増殖・分化、遊走、転移に関わること、また、様々な腫瘍においてmiRNAの発現異常がみられるため、有望な治療標的と考えらるが、犬前立腺癌におけるmiRNA発現異常に関わる分子機構の詳細は不明である。本研究の目的では、犬前立腺癌細胞株を用いて、前立腺癌組織中で発現変化が認められるmiRNAを標的として、人為的にmiRNAの発現制御を行い、腫瘍性増殖機構および転移・浸潤機構に関わる分子を同定し、病態形成機構を明らかにする。
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研究実績の概要 |
Micro RNA (miRNA) は癌抑制遺伝子または癌遺伝子の発現を制御することで、ヒトの様々な癌腫の発生や進展に関わることが知られている。以前、我々は19種類のmiRNAが犬の前立腺癌組織において発現変化を示すことを報告したが、それらの役割については不明であった。前年度、以前に我々が樹立に成功した2種の犬前立腺癌細胞株CHP-1およびCHP-2を用いて、前立腺癌組織中において有意に発現の増加が見られた4種のmiRNA (miR-18a、95、221および330) を対象として、miRNA阻害剤を化学的手法によるトランスフェクションを行い、細胞増殖能に変化を及ぼすか検討を行ったが、細胞間で増殖抑制効果に差異が認められていた。細胞増殖に関わるキーmiRNAかどうかを明らかにするには、より多くの他の犬前立腺癌細胞株での検討が必要であると考えられた。 当該年度では、新たに2種の犬前立腺癌細胞株CHP-3およびCHP-4を用いて、上記の4種のmiRNAが細胞増殖に及ぼす影響について検討を実施した。CHP-3およびCHP-4では、miR-221、miR-18a-5p、およびmiR-95-3p inhibitorの細胞増殖抑制効果は弱く、72時間培養後、control inhibitorをトランスフェクトしたものと比較して、15%未満の細胞増殖抑制効果にとどまった。その一方で、miR-330 inhibitorではCHP-3およびCHP-4において、Control inhibitor比で20%以上の有意な (p<0.001またはp<0.01) 細胞増殖抑制効果が観察された。CHP-1およびCHP-2でも同様の所見が得られており、犬前立腺癌においてmiR-330は細胞増殖に関わるキーmiRNAである可能性が推察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
犬前立腺癌細胞株のトランスフェクション効率は総じて悪く、トランスフェクション試薬や詳細な条件検討が必要であり、時間を要した。また、miRNAの阻害効果に細胞間差があり、樹立した複数の犬前立腺癌細胞株を追加して試験する必要があったため、全体的に研究課題の進捗状況が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
当該年度に細胞増殖抑制試験を実施した犬前立腺癌細胞株CHP-3およびCHP-4において、前年度に実施したCHP-1およびCHP-2と同様に、miR-330 inhibitorのトランスフェクションにより有意な細胞増殖抑制効果が観察されたため、次年度は、miR-330を中心として細胞増殖の分子メカニズムを解明し、さらに細胞遊走・浸潤への影響を明らかにする予定である。
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