研究課題/領域番号 |
20K06466
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42040:実験動物学関連
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研究機関 | 公益財団法人東京都医学総合研究所 |
研究代表者 |
松岡 邦枝 公益財団法人東京都医学総合研究所, 基礎医科学研究分野, 研究員 (40291158)
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研究分担者 |
和田 健太 東京農業大学, 生物産業学部, 教授 (20508113)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 難聴 / 外有毛細胞 / 再生 / マウスモデル / 内耳外有毛細胞 / ダイテルス細胞 / RNA-seq |
研究開始時の研究の概要 |
「聞こえの調節」に重要な役割を担っている内耳外有毛細胞(OHC)は騒音などにより障害を受け、また加齢によっても減少する。哺乳類のOHCは一度失われると再生しないとされてきたが、我々はこれまでに開発したOHC破壊マウスを解析する過程で、OHCを急激に破壊するとOHCが自発的に再生する可能性があることを見出した。そこで、OHC破壊マウスを利用してOHC破壊後の遺伝子発現、形態、聴力の変化を詳細に観察してOHCの再生の可能性を探り、そのメカニズムを解明する。
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研究成果の概要 |
我々はマウスを用いて内耳外有毛細胞(OHC)破壊後の遺伝子発現変動を解析する過程で、OHCが自発的に再生する可能性を見出した。細胞の再生過程は、分化・成熟過程を辿ると考えられることから、コルチ器の形成期にOHCの破壊により顕著に発現が減少する遺伝子を探索した結果、Agr3を同定した。AGR3はダイテルス細胞に強く発現しており、OHCの形成にダイテルス細胞が密接に関わっていることが裏付けられた。一方、OHCを破壊した成熟マウスにWntシグナル阻害剤RPI-724を週3回12週間腹腔投与を行った結果、聴力の改善傾向が認められ、Wntシグナルの阻害がOHCの再生を促すことが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
内耳外有毛細胞(OHC)は鋭敏な聴覚を得るために極めて重要である。OHCは加齢・騒音・感染・アミノグリコシド系抗生剤の投与等によって損傷を受け、哺乳類では一度失われると再生しないとされてきたが、我々はOHCが急激に破壊されるとOHCの自発的な再生が誘導される可能性を見出した。現在、難聴の根本的な治療法はなく、補聴器や人工内耳の装用により聴力を補わざるを得ないが、OHCの自発的な再生のメカニズムが明らかになれば、再生を促進させるための創薬や治療法の確立に向けて極めて重要な情報を提供することとなる。
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