研究課題/領域番号 |
20K06476
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42040:実験動物学関連
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
徳弘 圭造 関西医科大学, 医学部, 准教授 (20423105)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 受精能獲得 / 精子 / 亜鉛シグナル / 不妊症 / 多精子受精阻害 |
研究開始時の研究の概要 |
受精現象において亜鉛は精子の運動性を制御するために重要な役割を果たしていることが明らかとなってきているが、その分子メカニズムはほとんど解明されていない。そこで本研究では精子の受精能を制御する亜鉛を介した分子メカニズムの解明を目的とし、様々な条件下の精子において亜鉛の動態を詳細に解析するとともに、精子に発現している亜鉛チャネルの分子機能を解析する。
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研究実績の概要 |
これまでの研究で、卵子は受精直後に高濃度の亜鉛イオンを放出することにより、卵子の周りを覆う細胞外マトリックスである透明帯に結合している精子の運動性に影響を与え、複数の精子が受精する多精子受精を阻害している可能性が示唆された。また、亜鉛は射出後の精子が受精可能な精子へと変化する受精能獲得という現象に重要な制御因子として機能していることが報告されている。しかしながら、これらの亜鉛を介した現象の分子メカニズムは明らかとなっていない。本研究の目的は哺乳類の受精現象における亜鉛を介した制御機構を分子レベルで明らかにすることにより、不妊症の原因解明・治療や避妊薬の開発につなげることである。 当該年度は、精巣で発現する亜鉛トランスポーターを精子で消失させることによって亜鉛シグナルの受精現象における重要性を明らかにするため、理研のバイオバンクセンターより生殖細胞特異的にCreERT2を発現するマウスを購入して、floxマウスとの交配を進めた。タモキシフェン誘導により精巣内生殖細胞で遺伝子欠損を誘導して、交配により受精能を確認した結果、いずれの遺伝子も雄性不妊を示すことが明らかとなった。人工授精により詳細な受精能を解析した結果、Zip7 conditional KOマウスの精子はin vitroでは受精可能であるが、副精巣内精子を観察すると多くの精子で鞭毛部分での異常が観察されることがわかった。Zip7は線虫においては精子細胞質内での亜鉛の濃度変化を誘導することによって精子活性化に重要な役割を果たしていることが分かっている。マウスにおいても雌性生殖器内における精子の受精能獲得現象や子宮から輸卵管への精子の輸送過程に重要な役割を果たしている可能性が示唆される。今後は、蛍光精子を用いて雌性生殖器内におけるZip7欠損精子の運動性の変化や挙動観察を行い、ヒトの不妊症の解明に貢献したい。
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