研究課題/領域番号 |
20K06484
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43010:分子生物学関連
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
佐藤 優子 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 助教 (70435882)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | クロマチン / エピジェネティクス / ライブイメージング / 長鎖ノンコーディングRNA / X染色体不活性化 / Xist / XCI / RNA / Live cell imaging / Chromatin |
研究開始時の研究の概要 |
ヒトやマウスの性染色体は雄XY、雌XXで構成されており、雌の細胞には2本のX染色体が存在する。分化した雌細胞では片方のX染色体をほぼ全域で不活性することで遺伝子量の補正を行っている。このX染色体不活性化は、不活性化X染色体上のXist遺伝子の発現産物であるXist RNAが引き金として働いていることが分かっている。本研究では、最近新たに開発したXist RNAに対する生細胞プローブを使って、Xist RNAの細胞の中での動きを調べて不活性化機構を明らかにすることを目的とする。この研究の成果は、長鎖非コードRNAによるクロマチン制御の普遍的メカニズムの理解につながることが期待できる。
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研究実績の概要 |
2023年度は、前年度に行った抑制性クロマチンドメインの生細胞動態についてさらに解析を進めた。
HeLa細胞にH3K27me3-mintbodyを発現させて、超解像度蛍光顕微鏡を用いて観察した結果、細胞核内に複数の輝点が観察された。H3K27me3-mintbodyによる輝点は、核膜直下や核小体近傍に多く局在していた。また、Cy3-dUTPを取り込ませた細胞では、DNA複製機中期(mid-S期)の複製ドメインとの一致が見られた。これらの特徴は、これまで抗H3K27me3抗体を用いた免疫染色により観察されているパターンであり、抑制性クロマチンの局在箇所と一致することが示された。一方で、転写活性の高いクロマチンドメインをH3K9ac特異的mintbodyを用いて検出したところ、H3K27me3ドメインと同様に核内に複数の輝点が観察されたが、概してH3K27me3ドメインとは排他的な局在性を示した。輝点のサイズを蛍光シグナルの広がりから計測したところ、H3K27me3ドメインは直径約0.38マイクロメートル、H3K9acドメインは直径約0.30マイクロメートルであった。H3K27me3ドメインについて、個々のドメインに一番近いH3K9acドメインとの距離の統計をとると、50%の頻度で0.28マイクロメートルであったことから、両者の一部はオーバーラップすることが示唆された。また、H3K9acドメインとH3K27me3ドメインの細胞内動態を調べたところ、拡散係数(um2/s)はそれぞれ0.0013±0.001、0.0007±0.0007であり、エピジェネティック修飾の種類よりもDNA密度による影響が大きいことが分かった。
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