研究課題/領域番号 |
20K06513
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43020:構造生物化学関連
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研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
幡野 その子 愛知医科大学, 分子医科学研究所, 助教 (40434625)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | コンドロイチン硫酸 / 抗原提示細胞 / 免疫 / 分化誘導 |
研究開始時の研究の概要 |
コンドロイチン硫酸は二糖単位が数十回繰り返し連なった直鎖状の糖鎖で、更に硫酸基の修飾を受けて多様な構造をとっている。近年、免疫システムにおいてコンドロイチン硫酸が抗原提示細胞の機能を制御することがわかってきたが、微細構造が多様であるため、天然由来コンドロイチン硫酸を用いた研究からは確立された見解を得るのは難しい。そこで、糖鎖長と硫酸基修飾部位の規定されたコンドロイチン硫酸を酵素化学的に合成して、抗原提示細胞の機能を制御するコンドロイチン硫酸の微細構造と制御機構を明らかにする。
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研究実績の概要 |
生体防御機構は、自然免疫と獲得免疫の複合的な免疫応答が担っている。自然免疫は局所で即時に反応し、病原体や腫瘍細胞などの増殖に対する初期防御として機能しているが、最終的な病原体などの排除と免疫学的記憶の形成には獲得免疫が必要である。自然免疫の活性化による獲得免疫の誘導には、マクロファージや樹状細胞などの抗原提示細胞が中心的な役割を担っている。 近年、抗原提示細胞の機能制御にコンドロイチン硫酸が関わっていることがわかってきた。コンドロイチン硫酸はグルクロン酸とN-アセチルガラクトサミンの二糖単位が数十回繰り返し連なった直鎖上の糖鎖で、硫酸基の修飾を受けて多様な構造をとり、コアタンパク質と共有結合しプロテオグリカンとして存在する。コンドロイチン硫酸の微細構造が同分子の機能の特異性を規定していることが次々と報告されているが、生体反応に対する機能は一定した見解は得られていない。それは生体内の糖鎖が多様性に富むため、天然由来コンドロイチン硫酸を用いた研究からは確立された見解を得るのは難しいことによる。申請者の研究室では、糖鎖長と硫酸基修飾部位の規定されたコンドロイチン硫酸を酵素化学的に合成する技術を有している。本研究ではこの技術を用いて、糖鎖長と硫酸基修飾部位の規定されたコンドロイチン硫酸を酵素化学的に合成して実験に用いる。実験では抗原提示細胞をコンドロイチン硫酸存在下で培養し、エンドトキシン などの刺激物質を用いて活性化を試みる。この際、抗原提示細胞の活性化を制御するコンドロイチン硫酸の微細構造と制御機構を明らかにする。以上により免疫機構の制 御できるコンドロイチン硫酸の構造を明らかにすることで、その有効利用に貢献することを目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コンドロイチン硫酸は糖鎖の基本単位となる二糖に結合した硫酸基の結合位置と数によってA,B,C,D,E,H,Kの7種類に分類されている。哺乳類の組織において産生されるコンドロイチン硫酸は二糖構造に硫酸基が1箇所結合したA構造やC構造が主成分であり、硫酸基が2箇所結合するD構造やE構造は少ない。高硫酸化されたコンドロイチン硫酸は生理活性物質との相互作用が強くなることによりその機能性が発揮されると考えられている。これまでは脳・神経系組織で発現の高いE構造に関する研究が進んできたが、免疫反応に対する作用はあまり報告されていない。そこで私達はE構造含量が高いスルメイカ軟骨からコンドロイチン硫酸を抽出し、特にE構造が樹状細胞の活性化にどのように機能するかを検証した。 マウス骨髄由来多能性幹細胞を採取し分化させた未熟樹状細胞をイカ軟骨由来コンドロイチン硫酸を固相化したプレート上で予め培養し、その後エンドトキシンのひとつであるリポポリサッカライドを添加することによって樹状細胞を活性化した。コントロールはイカ軟骨由来コンドロイチン硫酸を固相化していないプレート上で同様の実験を行い比較に用いた。成熟樹状細胞が産生する生理活性物質は定量的リアルタイムPCRにてmRNAレベルで測定した。当初予備実験を行った際、活性化の指標となる炎症性サイトカインの発現はコンドロイチン硫酸固相化群でコントロール群に比べて有意に高かったが、実験推進中にロットが変わり新たなものでは有意差は得られなかった。当初のコンドロイチン硫酸と現在使用しているものはE構造の含有量が異なることが判明し、新たなロットで有意な結果を得るためにコンドロイチン硫酸量および構造を再検討している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究ではマウス骨髄由来未熟樹状細胞のリポポリサッカライドによる活性化においてイカ軟骨由来コンドロイチン硫酸がどのように機能するのかを検証している。イカ軟骨からコンドロイチン硫酸を抽出する際にE構造含量の違う各種画分が得られたため、当初とは違う結果が得られたようだ。現在、当初の構造のものを抽出すると同時に、コンドロイチン硫酸刺激による成熟樹状細胞が産生する生理活性物質を網羅的に解析するため、RNAシーケンスを行う。そのデータを基にELISA法などにてタンパク質レベルでの発現量も測定する予定である。高硫酸化されたコンドロイチン硫酸は生理活性物質との相互作用が強くなることによりその機能性が発揮されると考えられているため、これまでE構造に特化してきたが、有意な結果は得られなかった。現在コンドロイチン硫酸量を再検討しているが、樹状細胞特異的な構造を見出す必要があるとも考えられる。至適量と構造などの諸条件が決まれば本研究を続行し、コンドロイチン硫酸固相化プレート上で活性化した樹状細胞の遊走能をボイデンチャンバー等を用いて測定する。 この研究に用いている樹状細胞はマウスの骨髄から幹細胞を採取し、分化誘導している。この過程は多くの時間を費やし分化によるバラツキも大きいため、ヒト樹状細胞を購入してこれまでと同様の実験を行うことも考えている。コンドロイチン硫酸は動物種による構造の違いがないので、これまで使用していたものをそのまま使うことができる。
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