研究課題/領域番号 |
20K06521
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43020:構造生物化学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
中山 隆宏 金沢大学, ナノ生命科学研究所, 准教授 (00532821)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | がん抑制因子 / タンパク凝集 / 一分子観察 / プリオン / がん |
研究開始時の研究の概要 |
がん抑制因子p53の変異はがんで最も多く見つかる。変異型p53ががんを誘導するメカニズムの一つとして、変異型p53がつくる凝集体が野生型p53を共凝集させて機能を失わせ、さらに細胞間で伝播するというモデルがある。本研究ではp53の構造動態をナノメートルスケールの分解能で動画撮影できる高速原子間力顕微鏡で明らかにし、さらにがん様表現型誘導レベルとの相関を明らかにする。
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研究成果の概要 |
がん抑制因子p53は、がんで最も多く変異が見つかるタンパクで、変異型の発現がドミナントネガティブ効果で野生型のがん抑制機能の喪失を誘導することが定説となっている。しかし、p53には天然変性領域が含まれており、従来の構造解析では全長の立体構造を明らかにできないため、このドミナントネガティブ効果の分子メカニズムは不明である。そこで本研究では、アミロイドタンパクなどの天然変性タンパクの構造動態を可視化できる高速原子間力顕微鏡を用いて、p53を観察した。その結果、p53のコアドメイン(DNA結合ドメイン)が生理条件下ではアミロイド線維の前駆体とされるプロトフィブリル様の構造を形成することを発見した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、p53が凝集してアミロイド特有のクロスβ構造を持ち得ることを示した。さらに、液中生理条件下における試料の3次元構造がアミロイド線維というよりもむしろアミロイド線維前駆体であるプロトフィブリルに似た構造であることを発見した。近年、神経変性疾患の分野では、アミロイド線維よりもオリゴマーやプロトフィブリルの方が毒性が高いことが定説になりつつある。今後、細胞・組織レベルにおけるp53プロトフィブリル様凝集体の機能解析を進めることで、本研究成果は、p53変異による腫瘍発生メカニズムに新たなコンセプトを提供し得る。
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