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卵成熟誘起ホルモン受容体の同定

研究課題

研究課題/領域番号 20K06538
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分43030:機能生物化学関連
研究機関東京工業大学

研究代表者

奥村 英一  東京工業大学, 生命理工学院, 助教 (00323808)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
キーワード卵成熟誘起ホルモン / 1-methyladenine / 1ーメチルアデニン / 受容体 / GPCR / ケミカルジェネティクス / シグナル伝達 / イトマキヒトデ / 1-メチルアデニン / 卵成熟
研究開始時の研究の概要

卵成熟誘起ホルモンは有性生殖に必須の卵子形成最終過程である卵成熟開始を制御する。1969年に全ての動物に先駆けヒトデのホルモンが分子として同定され、魚類や両生類、ほ乳類など脊椎動物を含む卵成熟研究発展への契機となった。国内外でホルモン受容体の同定が試みられ、これまで魚やカエルでの報告はあるものの、ヒトデでは今なお不明である。本研究の目的は、このヒトデ卵成熟誘起ホルモンの受容体分子を同定することである。これまでケミカルジェネティクスという手法により見いだした受容体候補がヒトデ卵で機能する真の受容体であるのかを確かめ、卵成熟研究のさらなる進展を目指す。

研究実績の概要

ヒトデ卵成熟誘起ホルモンの受容体の同定が本研究の目的であり、申請者がこれまでに見いだした有力候補であるGタンパク質共役型受容体(GPCR)がヒトデ卵で機能する真の受容体であるかどうかを確認しようとしてきた。候補GPCRの細胞外突出部分を抗原とした精製抗体を細胞表層に作用させることで、約半数の卵の卵成熟を完全に阻害することに成功していたが、個体により阻害効果に差があることが問題となっていた。
今年度はこの問題の原因を解析し、この差と対応して複数の細胞周期制御タンパク質のリン酸化状態が異なることを見出した。また低濃度のホルモン処理が同様のリン酸化を誘起したことから、卵成熟誘起ホルモンの作用機構に、低濃度で作用し一部の標的タンパク質が応答しリン酸化されるが成熟には不十分な段階と、高濃度で作用し卵成熟誘起に十分となる2段階あることが示唆された。
また、卵の状態に注意しつつ、候補GPCRの細胞の内側に突出した部分を抗原とした別の精製抗体による阻害方法の改良も試みた。精製抗体を細胞内に注射するだけでは時間的遅れのみの阻害効果であったため、抗体を細胞膜の内側へ標的化するタンパク質を設計して細胞内で効かせることで完全な抑制を目指した。残念ながら数種類試したが阻害効果を高める結果は得られていない。
候補GPCRに対する複数の異なる抗原部位に対する抗体により、完全ではないものの部分的な抑制される結果が得られたため、ヒトデの卵成熟誘起にこのGPCRが関与することが示された。受容体が複数存在する可能性も見出されたが、候補GPCRがヒトデ卵成熟誘起ホルモン受容体の1つであることは間違いないと考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

研究開始当初はCOVID-19対策として所属機関から出された出校制限により研究の遅れが生じていたが、それについては概ねとり戻していた。しかし、昨年度に抗体を用いた阻害実験の過程で、ホルモン受容体が、1種類で2段階の作用を担うこと、または2種類ある可能性が新たに見出された。これは当初想定していなかった事実で、受容体の同定を目的とした研究をまとめるためには、これらの問題への対処が必要となっていた。今年度は、この問題の原因の解析を進め、いくつか手がかりを得たものの、初めて解析対象となった因子の関与が示唆されたため、解析を進める上での道具や手段が十分でなく、残念ながら解析に時間を要しており今年度内での解決には至らなかった。

今後の研究の推進方策

候補GPCRがヒトデ卵細胞内で卵生熟誘起ホルモンに応答する受容体であるかについては、細胞外突出部位に対する精製抗体による阻害により、その可能性が非常に高いことが示された。しかし、その解析の過程で、卵細胞の状態に違いがあることが判明し、ホルモンの作用機構に2段階あり、この2段階の作用が、1種類の受容体が低濃度と高濃度で使い分けられている可能性と、2種類のホルモン受容体が存在する可能性とが考えられた。受容体同定の目的のためには、どちらであるかは重要な問題であり、今後も引き続きこの問題の解決を目指す。
候補GPCRの働きを抑える方法には、精製抗体を細胞膜の内側に標的化するタンパク質として設計したが昨年度は調製まで至らなかったものがあり、そうした複数種のタンパク質を試す。候補GPCRの関与については、細胞外突出部位を抗原に用いた方法とは異なる方法で抑制することで、受容体の作用機構について解析が進むと期待される。細胞内から抑制した時に、リン酸化状態の差によらず抑制できれば受容体は1種類と言えるし、細胞外突出部位を抗原とした時と同じ結果になれば、2種類存在する可能性が高まる。

報告書

(4件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 2020 実施状況報告書
  • 研究成果

    (2件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] The Starfish Asterina pectinifera: Collection and Maintenance of Adults and Rearing and Metamorphosis of Larvae2021

    • 著者名/発表者名
      Naoyuki Murabe, Ei-ichi Okumura, Kazuyoshi Chiba, Enako Hosoda, Susumu Ikegami, Takeo Kishimoto
    • 雑誌名

      Methods in Molecular Biology

      巻: 2219 ページ: 49-68

    • DOI

      10.1007/978-1-0716-0974-3_3

    • ISBN
      9781071609736, 9781071609743
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [雑誌論文] Cryo‐EM structure of the CENP‐A nucleosome in complex with phosphorylated CENP‐C2021

    • 著者名/発表者名
      Ariyoshi Mariko、Makino Fumiaki、Watanabe Reito、Nakagawa Reiko、Kato Takayuki、Namba Keiichi、Arimura Yasuhiro、Fujita Risa、Kurumizaka Hitoshi、Okumura Ei‐ichi、Hara Masatoshi、Fukagawa Tatsuo
    • 雑誌名

      The EMBO Journal

      巻: 40 号: 5 ページ: 1-20

    • DOI

      10.15252/embj.2020105671

    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著

URL: 

公開日: 2020-04-28   更新日: 2024-12-25  

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