研究課題/領域番号 |
20K06544
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43030:機能生物化学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
西 毅 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (60403002)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | スフィンゴシン1リン酸 / 輸送体 / 構造機能相関 / S1P / トランスポーター / リゾリン脂質 / シグナル伝達 / SPNS2 |
研究開始時の研究の概要 |
スフィンゴシン1リン酸(S1P)は細胞間の情報伝達物質として働き、標的細胞の受容体に結合することで様々な生理作用を示す脂質メディエーターである。我々はこれまでに、S1Pが細胞膜の輸送体によって細胞内から細胞外に輸送され、様々な生理機能の制御に関わることを示してきた。S1P輸送体として世界で最初に同定したSPNS2は血液中へのリンパ球の血中移行や癌細胞の肺転移に必須な分子であり、さらに新しく赤血球のS1P輸送体としてMFED2Bを同定した。本研究ではS1P輸送体を含むリゾリン脂質輸送体の基質輸送の分子機構を明らかにすることで、新しい輸送体介在型の脂質シグナル伝達の分子機構の解明を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では血管内皮細胞のスフィンゴシン1リン酸(S1P)輸送体、SPNS2と赤血球および血小板のS1P輸送体、MFSD2BがそれぞれどのようにS1Pを輸送し受容体を活性化しているのかそのシグナル伝達の分子機構における普遍性と特異性を明らかにすることを目的としている。本年度もこれまでに引き続きS1P輸送体であるSPNS2のS1P輸送の分子機構を明らかにすることを目指し、部位特異的変異体の解析を進めた。また、MFSD2BのS1P輸送機構についてアミノ酸配列が60%同一で相同性の高いにも関わらずリゾポスファチジルコリン(LPC)輸送体として機能するMFSD2Aと比較することで、基質認識の特異性を検討し、輸送に同一の残基が関与するだけではなく、異なる領域の残基も関与していることを示す結果を得ることができた。これら異なる輸送体であるSPNS2、MFSD2BとMFSD2Aの機能残基の位置と高次構造での配置を他のMFS型輸送体の結晶構造を用いてモデリングすることで比較し、基質認識機構について明らかになりつつある。 並行して、輸送体の高次構造を同定するためのタンパク質の大量発現系と精製法の検討を前年度に続き進めた。大腸菌を用いた発現系からは比較的大量なサンプルを得られたが、使用できる界面活性剤の種類に問題があり、これの改善を進めているが結晶化には至っていない。培養細胞を用いた発現系でも可溶化効率に問題があり、用いる界面活性剤や種々の条件検討を行うことで明らかに改善した結果を得ることができた。これを用いて結晶化に取り組んでいるが、今のところ結果は得られていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
輸送体の機能解析に関しては本年度は比較的順調に実験を進めることができた。高次構造の解明を目指した結晶構造解析に関する部分では結果に結びつく大きな進展は得られていないが、全体的には進展が見られている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでと同様にSPNS2、MFSD2BおよびMFSD2Aを用いて基質認識機構の解析を進め、これに構造のモデリングやドッキングシミュレーションなどを組み合わせることで、SPNS2とMFSD2Bの間のS1P輸送機構の普遍性について解明する。やはり高次構造を明らかにすることが輸送機構の解明に大きく寄与することは明白である。その決定を目指して、SPNS2およびMFSD2Bの大量発現系の構築と最適化を進める。また、タンパク質の可溶化、精製、結晶化条件の最適化を進め高次構造の決定を目指す。
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